□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年3月6日第182号 ■ ========================================================= TPPは国のあり方を変えることになるという一つの証拠 ======================================================== すっかりメディアから消えたTPP参加問題だが、久し振りに 興味ある記事を見つけた。 それは発売中の週刊朝日3月16日号に掲載されていた「米韓 FTA発効直前の韓国で追い込まれる自治体の苦悩」と題する フリージャーナリスト横田一氏の記事である。 その要旨はこうだ。 米韓FTAの発効によって韓国の多くの自治体の条例が撤廃に 追い込まれることになりそうだ。 たとえば遺伝子組み換え食品は給食に使ってはいけないという 条例がある。 たとえば小売店を守るために大型店舗の規模や営業時間や立地 場所を規制する条例がある。 しかし米韓FTAの発効を理由にこれらが撤廃される恐れが出 てきた。 米韓FTAという国際条約は法律と同等であり、法律の下にある 条例より優先されるからである、と。 この懸念は、「TPPを慎重に考える会(会長・山田正彦前 農水相)の国会議員が2月19日から訪韓した際、韓国野党議員ら との共同記者会見で明らかにされたという。 ソウル氏が調査しただけでも30の条例が米韓FTAに抵触して いることが判明したという。 米韓FTAとTPPはもちろん違う。 しかし米韓FTAは二国間条約であるだけに米国の思惑が露骨に 表れる。 そしてTPPは事実上の日米FTA版だと言われている。 日本がTPPに参加すれば必ず同じ問題が出てくる。 日本の官僚たちは米国の攻勢を防ぐのに精一杯でとてもTPPと 国内法との整合性を見極める余裕はない。 ましてや地方自治体の条例などはじめから念頭にない。 気がついてみたらTPPの名の下に次々と国内法制度が変えら れていくことになる。 それに逆らうと協定をテコに米国企業から訴えられることになる。 TPPは日本を変えることになるのである。 幸いにもTPP準備交渉が長引いている。 日本の市場閉鎖を嫌って米豪ニュージーランドが日本の参加承認を ためらっている。 司令塔不在の日本の官僚たちが内輪もめしている。 せいぜい予備交渉で時間をかけてもらいたい。 その内に世界情勢が変わり、米国も日本も政権が交代し、TPP など話題にならなくなるかもしれない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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