□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年3月4日第178号 ■ ========================================================= 何度でも書く。私は中ロのアサド支持を厳しく非難する ======================================================== シリア情勢は私が想定したどおり最悪の状況になりつつある。 アサド政権の反シリア体制側の殺戮は続き、反体制側を支持 する欧米アラブ側は反体制側に武器支援を行なう事を議論し 始めた。 それでは内戦になる。シリア国民同士が殺しあう日々が続く。 シリア情勢の混迷が続けば続くほどアサド政権は強く、残虐に なる。 アサドは国際社会の手で一刻もはやくシリアから追放されな ければならないのだ。 もしあの時、中国とロシアが国連安保理の対シリア制裁決議に 拒否権を発動して反対していなかったなら、アサド政権は今ごろ 終わっていたに違いない。 ここまで多くの犠牲者を出さなくて済んだ。 国連決議が成立すれば、抵抗するアサド政権と国連軍との軍事 衝突が起きたかもしれない。 それを防いだだけでも中ロの拒否権発動は正しかったと言う人 がいる。 アサド打倒を叫ぶいわゆる反体制派なるものもまた外国勢力 の支援を受けた不透明な勢力であり、それに肩入れをする欧米の 利害が見え隠れするという者もいる。 私はそれらの見方には賛同しない。その理由はこのメルマガで 何度も書いてきたからここで繰り返さない。 百歩譲って彼らの意見が正しいとしても、その彼らもアサド 政権の残虐性と非民主性を否定する者はいないであろう。 どうやったらアサド政権を追放できるのか。 安保理決議を成立させられない今の国際社会の枠組みで考えら れる唯一の方法は国際刑事裁判所に付託して「法の支配」に委ね ることだ。 たとえアサドをすぐに国際刑事裁判所に引きずり出す事ができ なくてもアサドを支持する国民の心理に圧力をかける事ができる。 国際刑事裁判所に訴追された事の重みは大きい。 ところが中国とロシアはアサドを国際刑事裁判所に付託すると いう案さえも国連安保理で廃案にする構えを見せているという のだ。 この事を私は3月3日の日経新聞が引用している英ファイナン シャル・タイムズ紙で知った。 安保理制裁決議に反対するのはわかる。 ウソでもいいから軍事力の行使は犠牲者を出すから反対だと 言っていれば反対の大義名分は立つ。 しかし国際刑事裁判所で裁くことに反対する合理的理由は どこにもない。 それはアサドを裁いてはいけない、アサドをシリアから追放し てはいけないと言っていることと同じだ。 プーチンのロシアのような非民主的な国はどうでもいい。 しかし中国は人権重視の民主国家になってもらいたい。 それは日本のためであり世界の平和のためだ。 中国は対シリア外交で大きな過ちを犯した。 中国もそれに気づき始めたに違いない。 だからこそ中国は必至になってアサドに説得を試みているのだ。 しかしアサドは説得では動かない。 アサドを説得してシリア情勢を安定化させることは出来ない。 アサドは追放しなければシリアの民主化は実現できない。 中国の対シリア外交は必ず批判されることになるだろう。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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