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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

北方領土問題を弄ぶ若宮啓文朝日新聞主筆の罪
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年3月3日第174号 ■     =========================================================       北方領土問題を弄ぶ若宮啓文朝日新聞主筆の罪                                                              ========================================================  きょう3月3日の各紙は一斉にプーチン首相の北方領土発言を 報じている。  あたかも北方領土問題であらたな進展の可能性が出てきたといわん ばかりに。  ところが各紙を注意深く読み比べてみるとその底の浅いからくりが 見えてくる。  朝日を除く各紙の書き出しは判で押したように次のような書き方に なっている。  「ロシアのプーチン首相は1日、海外の一部メディアと会見し、 北方領土問題について『最終的に解決したいと強く願っている』、 『双方が受け入れ可能な形で行ないたい』などと領土問題解決に 取り組む意思を示した・・・」、と。  その記事の内容も各紙ともほぼ同じだ。  ところが朝日新聞だけがまったく異なる。  この問題に関する朝日新聞の記事はまず一面トップで若宮啓文主筆 の次のような書き出しの記事で始まる。  「雪に覆われた林の中、別荘のようにたたずむモスクワ郊外の首相 公邸。勝利が確実とされる大統領選を目前にした1日、(プーチン 首相は)私や欧州各紙などの幹部との会見に臨んだ・・・私は『日ロ』 を聞かぬ手はない・・・」  ご丁寧にプーチン首相と各国のメディアがテーブルを挟んで共同イン タビューしている写真まで掲載している。そこに若宮主筆がいる。  そして朝日だけがプーチン発言に対する詳細な記述と解説入りの特集 記事を紙面を大きくさいて報じている。  賢明な読者ならもうお分かりだろう。  このニュースは朝日のスクープのようになっているのだ。  ニュース源は朝日新聞の若宮主筆なのだ。  どういう経緯でそうなったのかわからないが、主要各国のメディア の中で朝日の若宮氏だけが取材に参加する特権を手に入れ、欧米紙の 記者には関心のない日ロ領土問題を若宮氏があえて質問して記事に したのだ。  その他の各紙の記事はみなこの朝日の記事の要旨の転載に過ぎない。  若宮氏の記事や朝日の解説が正しいのならまだ許せる。  しかし目新しいものは何もない。  おそらく若宮氏もそれを知っているに違いない。  しかし日本のメディアでは単独取材だ。  何もなかったとは書けない。無理をして前向きさをうかがわせる 言葉を見つけ、それをとらえてニュース性を高めようとする配慮が あったとしたらどうだろう。  結論から言えば私は北方領土問題は何も進展しないと思う。  プーチン首相が若宮氏に語った言葉は、寒中に遠路はるばる訪れた 日本の記者に対するリップサービスでしかなかったと思う。  3月3日の毎日新聞は「交渉は引き続き難しいものになる」という 外務省幹部の言葉を載せている。  無能な外務官僚でさえ分かっているのだ。何も動かないと。  領土問題は指導者一人が決めるものではない。国民の総意だ。  たとえそうであってもその指導者の強力なリーダーシップが 不可欠だ。  プーチン首相の指導力は揺らぎ始めた。ましてや日本の野田首相 の命運は崩壊寸前だ。  仮に指導者同士のトップダウンで決まるとしても、それを具体化 するには官僚たちの周到な交渉の積み重ねが不可欠だ。  その気配はまったくない。外務官僚はさじを投げている。  そんな状況の中で北方領土問題が今動き出すはずはない。  北方領土問題は何もすることのない政治家たちの自己宣伝の ネタだ。  朝日新聞までもそれを自己宣伝に使っているということだと したらあまりにも情けない。                           了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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