□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年3月1日第170号 ■ ========================================================= イスラエルの本音を漏らした佐藤優 ======================================================== 我が国にとってイラン情勢はどのように解決されるといいのか。 それはイランの核開発疑惑が払しょくされ、国際社会による対 イラン経済制裁が解除されることだ。 それによってペルシャ湾有事の可能性がなくなることだ。 イランが核開発疑惑の払しょくに難色を示すとしても最後まで それを迫ることだ。 イスラエルに対してはイランがそれに応じないからといって決し て先制攻撃をしないように迫ることだ。 そしてイスラエルに最も影響力のあると言われている米国に対し イスラエルの先制攻撃を許さないよう求めることだ。 それが日米同盟の日本の取るべき外交であり、ペルシャ湾有事を 起こさせない事こそ日本の最大の国益である。 この事を否定できる者がいるだろうか。 この事を望まない国民はいるだろうか。 それがいるのだ。 イランを一方的に悪者と決めつけ、イラン制裁強化に積極的に 参加し、西側とイランの対立を「新冷戦」とまで呼称してペルシャ 湾有事の際には自衛隊を派遣して協力せよと真顔で唱える者がいる。 それが佐藤優元外務省分析官という名の言論人である。 彼は自ら認めているようにイスラエルのモサド(対外諜報機関) の友人だ。すなわち彼は日本のメディアで盛んにイスラエルの 代弁をしているのである。 その事を私は機会あるごとに書いてきた。 そしてまたひとつ私は佐藤優氏のイスラエル代弁振りを発売中 の週刊東洋経済済3月3日号に見つけた。 「知の技法 出世の作法」という自らの連載第235号で、 佐藤氏は野田首相のイラン外交を褒め殺している。 すなわち、イランからの輸入削減について口を滑らせて真っ先 に賛成した安住財務相をべた褒めする一方で、米国の制裁に慎重な 姿勢を見せる玄葉外相や経済産業省を批判する。 そしてイランへの制裁強化に賛同する事こそ日本の国際的評価 を高めることだ、いまこそ野田首相は指導力を発揮せよ、それこそ が日米同盟の証である、野田首相の指導力の見せ所だ。米国が 最重要視するイラン問題で米国に恩を売っておけば、普天間問題 やTPPで米国から譲歩を引き出せる、などと野田首相に求めて いる。 まさしくこれがイスラエルの立場なのである。 そのような週刊東洋経済の彼の論評を真面目に受け取るのは危険 だがひとつだけ貴重な情報がある。 それは彼の言う「中東某国からのインテリジェンスに通暁した 友人」(筆者註:イスラエルのモサド関係者の事を彼はいつもこの ように書いている)の言葉である。 つまりその友人はイランの核開発状況についてこう言っている。 「すでにイランは20%の低濃縮ウランを100キロ持っている。 ここから高濃縮ウランを作り出すには4-5ヶ月あれば十分だ。 そこから核爆弾をつくるのに1年かかる。さらに弾道ミサイルに 搭載することが出来る核弾頭を炸裂するのに約1年がかかる。 イランは技術的にあと2年半で、広島型原爆を4個持つことができる。 イランが核兵器を保有した場合、サウジアラビアだけでなくほかの 湾岸諸国もパキスタンから核弾頭を購入することになる。東西冷戦期 には核戦争を避けるための協議メカニズムや首脳間のホットラインを 設置するなど様々な安全措置がとられていた。しかし、中東にその ようなメカニズムはない・・・このような状況が起きないように するためにも、イランに核開発をあきらめさせなくてはならない・・」 つまりイランはまだ核兵器を持っていない。持つまでにはまだ 技術的に2年半の余裕がある。今すぐにイスラエルはイラン攻撃を しないということだ。 しかしイランが核兵器を持つまでには、つまり2年半の間には、 必ずイランを攻撃するということだ。 なぜならばイランが核兵器を持った暁には必ずそれが中東で使わ れるとイスラエルは見ているのだ。 そしてそれは正しい。 かつてレバノンのパレスチナ武装抵抗者の一人が私に語ったこと がある。 ここまでイスラエルに痛めつけられ続けているパレスチナ人の恨 みがわかるか。俺たちに核兵器があったらなあ・・・もしその一つ でも手に入れば、俺たちは何のためらいもなくテルアビブ(イスラ エルの首都)にぶち込んでやる・・・ 核兵器を中東で使わせない最善の方法はイスラエルがパレスチナ 弾圧をやめる事である。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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