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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

海賊対策のための哨戒機をペルシャ湾有事に転用しようとする浅知恵
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年2月27日第163号 ■     =========================================================     海賊対策のための哨戒機をペルシャ湾有事に転用しようとする浅知恵                                                               ========================================================  私は2月20日のメルマガ第144号でペルシャ湾有事の際の 自衛隊の貢献策に関する矛盾を指摘した。  日本は何も出来ないし、本気で有事における協力をする覚悟もない のに国際貢献をする振りをしようとする矛盾だ。  こんなつまらないことは一回書けば十分であると思ったのだが、この 記事を読んであまりにも腹立たしく思ったので書かざるを得なくなった。                                                  こんな記事を読むにつけても官僚たちの仕事がいかにいい加減なもの か、気楽なものか、机上の空論であるか、あらためて情けなくなるのだ。  こんな浅知恵をもてあそんで仕事をすることが許される日本はやはり 官僚天国である。  2月26日の毎日新聞が書いていた。  ホルムズ海峡封鎖にそなえて日本政府が検討している対応策の一つ として、今度は海賊対策のためにソマリア沖のアデン湾に派遣している 海上自衛隊のP3C哨戒機を有事の際はホルムズ海峡に派遣するという。  その理由がふるっている。  アデン湾からホルムズ海峡は約2000キロであり、日本から派遣 するよりはるかに早期に対応できるからだという。  本気でこのような事を考えているというのか。  これを実現するには法改正が必要である。少なくとも法解釈の根本 的拡大をしなければならない。なぜならば自衛隊機のソマリア沖派遣は 海賊対処法に基づく理由で派遣されることになっているからだ。  いまの野田民主党政権にそのような決定ができる政治力はない。  それよりもなによりも哨戒機という自衛隊機は、はありていに言えば 警備を任務とする軍事機であり、いざというときには攻撃力のある戦闘 機である。  そのような軍用機を軍事衝突しているホルムズ海峡に飛ばすことの 危険性を覚悟できるのか。  そこまでの国際貢献を日本がしなければならないのか。  それが世界が日本に求めていることであるというのか。  誰が考えてもあり得ないことだろう。  だから例によっておなじみの但し書きがついている。 「ただ、P3Cをホルムズ海峡有事に転用すれば、軍事衝突している 当事国の武力行使との一体化となり、憲法違反のおそれがある」、と。  つまりP3Cのペルシャ湾派遣はありえないことなのだ。  ありえないことであるが検討する振りをしているということだ。  お笑いなのはその後の次のくだりだ。  「だから、現在アデン湾で活動している他国の軍がホルムズ海峡に (応援)に向かった場合、他国が(アデン湾)で活動している(海賊対策 用の)警戒活動を肩代わりする案なども検討している・・・」  いつものオチだ。安全な事だけをして何か貢献しているふりをする。  いつものように他国の軍隊から、日本の自衛隊は何をやっているんだと いぶかしがられて終わる。  それよりも何よりも今のイラン情勢は米国とイスラエルのペルシャ湾に おける有事などはもはや遠のいている。  それよりもいつイスラエルがイランの核施設を攻撃するかに移っている。  そんなことになればペルシャ湾有事どころではない。  日本の出る幕などまったくない。  イスラエルのイランを攻撃させてはならない、そのことに世界はすべて を投入しなければならない時なのである。                              了   ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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