□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年2月21日第147号 ■ ========================================================= 5月の連休は訪中か、訪米か、それが問題だ ======================================================== 前代未聞の事が起きた。 2月19日の朝日新聞は「首相5月上旬訪中で調整」という 大きな見出しで次のような記事をスクープ報道していた。 すなわち、野田首相は5月上旬に中国・北京を訪問し、日中韓 首脳会談に出席する方向で調整に入った。日中韓自由貿易協定 (FTA)の交渉入りで合意できるかが焦点で、核開発を続ける 北朝鮮を巡る情勢も主要な議題となる見通しだ、と。 この朝日の記事を読んで私は驚いた。 野田首相の訪米は今年の1月に行なわれる予定だったが延期 された。 だから野田首相は訪米にこだわるはずだ。 そしてその直近の機会はもはや4月-5月の連休しかない。 事実、1月の訪米が先送りされた時はそう報道されていた。 まさか連休中に訪米の後で続けて訪中するのではあるまい。 いくら特別機といえどもそれはきつい。 朝日の記事は訪中を優先するということなのか。 しかも首脳外交は、日中韓のFTAといい、北朝鮮をめぐる 日中韓の協議といい、米国を排除したものだ。 米国がもっとも警戒し、不快感を抱くものだ。 米国を逆撫でするような事を野田首相はするつもりか。外務 官僚はそれを認めるのか。 そう思っていたら一日たった2月20日の読売が「首相5月 訪米で調整」という見出しで次のような記事を掲載した。 すなわち野田首相は5月の大型連休中に訪米し、オバマ大統領 との首脳会談を行なう方向で調整に入った。在日米軍再編計画の 見直しや、環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加問題、 北朝鮮情勢などを協議する、と。 どっちが本当なのだ。 日本の二大ライバル紙がまったく反対の事をスクープ報道合戦 した。 しかも中国と米国のどっちを日本は優先するかというまるで 絵に画いたような究極の選択について。 日本外交の最も重要なテーマについて。 私が前代未聞と書いた理由がここにある。 一体この混乱の背景には何があったのか。 結論から言えば野田首相の5月の外遊は米国以外にはありえない だろう。 朝日の訪中報道を見た官僚が慌てて読売新聞に訂正させたのでは ないか。 それとも朝日にこのような情報を流した外務省のなかで米国派と アジア派の対立が進んでいるということなのか。 野田首相の5月訪米が固まった時点で朝日新聞はこの重大な誤報 の責任をどう取るのだろうか。 ひょっとして社長のくびが飛ぶかもしれない。 野田首相の連休中の外遊報道から目が離せない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)