□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年2月16日第130号 ■ ========================================================= 「指導者が交代する2012年は世界政変の年だ」というウソ ======================================================== 私がメディア向きではない事を一番良く知っているのは私自身だ。 あるテレビ番組で自分が本当と思っている事をはっきり言ったら、 それを言ってしまったら番組が続かないと言われて、それ以来その 番組に呼ばれなくなった。 私はもちろんわかっているつもりだ。 あらゆる政治番組、討論番組にはシナリオがある。 その番組を時間どおり続けなければならないのだ。 解説者はどんなくだらない話題でも何かもっともらしく相槌を 打ったりコメントしなければならない。 それが出来ない者はメディには好かれない。 昨年暮れに、私はいくつかの新聞、雑誌から同じような質問を 受け、コメントを求められた。 すなわち2012年は世界の主要国の多くで指導者が変わる。 世界は激変の年になる。 その事をどう思うかというのである。 私はそんな問いはほとんど意味はない。たまたまそういう巡り 合わせになっただけだ。しかも指導者が変わらない場合もある。 そして指導者が変わっても政策が激変するとは限らない。たとえ 政策が大きく変わっても、日本が正しい自主外交を進める限り 慌てることは何もない、と答えた。 明らかにそんなコメントは歓迎されない。 それでは特集記事にならないからだ。 それから2ヶ月ほどたって私と同じ事を言っている人を 見つけた。 発売中の週刊SPA!(扶桑社)2月21日号であの人気解説 者の池上彰氏が「世界が大きく変わる2012年」というのはウソ だと、要旨次のように書いている。 すなわち、国家元首の選挙があるのは事実だがそれがそのまま 政権交代を意味するわけではない。オバマ大統領は再選される 可能性が高いし、習近平副主席が国家主席となっても胡錦涛政権の 下で立てられた政策を粛々と継続するだけだ。ロシアはプーチン が大統領が返り咲くだろうが黒幕が表舞台に再登場するだけの話 だ。フランスと韓国は確かに米中ロに比べて不確実性は高いが、 それとてもフランスのオランドは左派でも中道だから政策が劇的に 変わることはないだろう。韓国の新政権が動き出すのは2013年 の2月だ。北朝鮮でさえも、これまで半世紀以上にわたって金王朝 の独裁支配が続いてきた国がそう簡単に崩壊するほど脆弱ではない との見方もある。ユーロの危機でさえ、ユーロからの離脱を望んで いる国は一つもない・・・ そして池上彰氏は最後に次のように結んでいる。 「2012年問題を喧伝する者の声が大きいせいか、(私が紹介 したような)冷静な見方をメディアで見かける機会は少ない。テレビ 解説者にまどわされてはいけない!」、と。 池上氏はいまや売れっ子の解説者だ。 その池上氏がはっきりと2012年問題はウソだと言っているのだ。 年が明ければ何を言ってもいいと言うことだ。 やはりあれは年末、年始の仕組まれた特集番組であり、特集記事 であったということである。 了 ─────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)