□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月21日第819号 ■ ============================================================= クラスター爆弾禁止条約の骨抜きを許す野田首相 ============================================================ 私はかねてから見抜いていたのだが、野田首相は、あの茫洋とした 風貌と手堅い物言いでその正体を隠しているが、とんでもないタカ派 で危険な政治家なのである。 もし憲法9条を守れと主張する護憲派が野田政権を支持していると すれば、それは大いなる自己矛盾だ。 それがきょう11月21日の毎日新聞のスクープで見事に証明された。 きょうの毎日新聞は一面トップで日本が米国に加担してクラスター爆弾 禁止条約を骨抜きにしようと動いていると報じた。 その要旨はおよそ次の如くだ。 すなわち長年の交渉の末に08年にクラスター爆弾禁止条約が締結 された。 およそあらゆる爆弾は非人道的だが、そのなかでもクラスター爆弾は 不必要に人を傷つける非人道的な爆弾だ。 そのクラスター爆弾禁止条約に最後まで反対したのが米露中であり、 これら3カ国は未だにこの条約に加盟していない。 日本は一貫して禁止に消極的であったが、世論におされて最後は締結 した。 この条約を認めない米国はその後もクラスター爆弾を使用し続けている。 09年末の米軍によるイエメン攻撃や、今年のカダフィ政権攻撃で クラスター爆弾を使用し、それが国際社会の批判の的になった。 危機感を深めた米国などが、オスロ条約を骨抜きにする、規制のゆるい もうひとつの兵器使用禁止条約づくりを急いだ。 その取りまとめ役に日本奔走しているというのだ。 兵器使用禁止条約という美名の下でもうひとつの骨抜き条約をつくり、 日本が米国のクラスター爆弾の使用を助けようとしているのだ。 こんな事が行なわれているとは知らなかった。 毎日新聞のきょうのスクープではじめて知った。 それを許しているのが野田政権だ。 野田首相や玄葉外相、一川防衛相が、どこまで問題意識を持っている かは知らない。 しかし、もし官僚に丸投げしてこのような動きを放置しているとしたら もっと危険だ。 かつて小渕首相は、地雷禁止条約に反対した防衛官僚とそれに追随する 外務官僚を押さえつけて地雷禁止条約に加盟したことがあった。 それがまさしく政治主導である。 野田首相は小渕首相とは違うということだ。 とんでもない対米従属、官僚従属の危険な首相なのである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)