□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月1日第765号 ■ ============================================================= パレスチナのユネスコ加盟を歓迎する ============================================================= 11月最初のメルマガを明るいニュースで始めたい。 10月31日、ユネスコ(国連教育・科学・文化機関)総会はパレス チナの正式加盟を賛成107、反対14、棄権52の賛成多数で承認 した。 いうまでもなくパレスチナが主要な国際機関で、正式な加盟国の地位 を得たのはこれが初めてである(11月1日読売)。 日本の報道はこの歴史的な出来事を大きく取り上げないが、国際政治 に与える影響ははかり知れないほど大きい。 もちろんこれによって中東和平が直ちに進展する保証はない。 それどころかイスラエルが硬化して短期的には中東和平は停滞する おそれすらある。 しかし長い目で見ればこれはパレスチナ和平実現に向けての大きな 第一歩となるだろう。歴史を振り返った時、そう思い知らされることに なるに違いない。 パレスチナ問題の真の解決は、パレスチナが国家として認められない 限りおぼつかない。 パレスチナが国家として認められない限りイスラエルとの対等な交渉 はあり得ない。 パレスチナとイスラエルが不平等な関係のままでは、決して正義の 実現は望めないのだ。 すなわち、パレスチナ問題の公正で持続的な解決の実現にとって、 パレスチナ国家の承認は不可欠なのである。 だからこそパレスチナ問題の公正で持続的な解決を望まない米国と イスラエルは決してパレスチナを国家として認めないのだ。 国連安保理で拒否権を有する米国は、最後は拒否権を発動してパレス チナの国連加盟を認めないのである。 しかし国連の専門機関であるユネスコでは拒否権の発動は認められて いない。加盟国の賛成多数ですべてが決定される。 そのユネスコでパレスチナの加盟が圧倒的多数で認められたのだ。 国連安保理常任理事会が、米国の工作によりいつまでたっても結論を 出せない間に、ユネスコが先駆けてパレスチナ国家承認の先手を打った のだ。 この国際的な流れはもはや誰も止められることはできないだろう。 そのことを、ユネスコのパレスチナ加盟を報じる11月1日の朝日 新聞が次のように見事に描写していた。 ・・・投票結果が読み上げられると、パレスチナ自治政府のマルキ 外相は両手を高々と掲げ、会場から沸き起こった大きな拍手に応えた。 パレスチナが195番目の加盟国に承認された瞬間だった・・・ (それとは対照的に)米国代表が「NO」と表明すると会場がため息 が漏れ、イスラエル代表が「NO」の際は笑い声が上がった・・・ 米国とイスラエルは世界からますます孤立しつつあるということだ。 私はパレスチナのユネスコ加盟承認を歓迎する。 一日も早い中東和平の実現を期待する。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)