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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

野田首相はオバマにTPP参加表明をするだろうが心配しなくてもよい
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月22日第744号 ■     =============================================================  野田首相はオバマにTPP参加表明交渉するだろうが心配しなく てもよい                                                =============================================================  TPPに反対する声は強いがもう勝負はついている。  野田首相はオバマ大統領にハワイで交渉参加を表明する事を決めて いるからだ。  TPPに反対する一人として残念なことだが、しかし私は心配は していない。  勝負はその後から始まるからだ。  その事について書いてみる。  TPP交渉参加に反対する超党派議員連盟「TPPを慎重に考え る会」(会長山田正彦前農相)が21日、国会内で総決起集会を開い たという。  それを報じる記事を見ていたら、社民党の福島党首の姿はあった けれど共産党の志位委員長の顔が見当たらなかった。  共産党はTPPに強く反対しているはずだ。  もしこの超党派の議員連盟に入っていないのなら、やはり共産党は 協調性のない独善政党ということになる。  しかし、その事はここでは問わない。TPP問題にとっては瑣末な ことだ。  共産党が参加してもしなくても、すでに勝負はついているのである。  超党派議員連盟といっても、わずか110人の国会議員が集まった だけだ。  しかも顔ぶれを見るとまともな有力議員はいない。熱気が伝わって こない。  これではとても野田首相の決断を変えさせることは出来ないし、 ましてや野田首相を支えるメディアの情報工作に影響を与えることは 出来ない。  しかし考えてみれば無理もない。  TPP問題は日米同盟を重視するかどうかの踏み絵である。  だから米国に睨まれて政治家としての将来を失いたくないと思う 有力政治家は決してTPPに先頭に立って反対はしない、できない。  何よりも、対米従属を最優先する野田首相はAPEC首脳会議の際 にオバマ大統領に「交渉に参加します」、と言う事に決めている。  それをしなければ鳩山首相の二の舞になってオバマ大統領にウソを ついたことになるからだ。  たちまち首相失格となるからだ。  断れるはずがないのだ。断れるシナリオはないのだ。  それに野田首相には国民に対する殺し文句がある。  「TPPに参加する」と決めた訳ではなく、「TPPの協議に参加 する」のだ、と。  日本にとって不利にならないように交渉し、不利になると分かれば 参加しないこともありうる、と。  はじめから協議にも参加しないというのでは通用しないだろう、と。  そう言われればそうか、となってしまう。  そういう訳で今度のTPP騒ぎは第一幕はもう終わっているのだ。  しかし、私はそれでも心配はしていない。  TPP交渉が始まれば、たちどころに交渉が難航する。  いつまでたっても合意には至らない。  それはこれまでの多極間経済自由化交渉を見れば容易にわかることだ。  いまTPPに反対している者たちは、その時に本気で反対すればいい のだ。  逆に言えば野田首相は、APECでオバマ大統領に参加表明した後に 本当の苦しみが待っているのだ。  協議を始めたのはいいが、個別問題が議論されるようになった時こそ、 国内調整で行き詰る。  反対勢力を説得できなければ野田首相はいつまでたってもTPPに参加 出来ない。  反対勢力を押し切ってまでTPPに参加しようとすれば、その時は野田 政権は倒れるおそれが出てくる。  今度のTPPをめぐる国内論争は、勝ったはずの野田首相が、気が ついてみれば敗者となるかも知れないのだ。  もっとも野田首相は11月にオバマ大統領に参加表明できさえすれば いいと考えているのかもしれない。  本格交渉が始まる頃には、おそらく総理にとどまってはいないと自覚 しているのかもしれない。  野田首相はTPP問題などよりもはるかに深刻な問題で行き詰まるに 違いない。  それを野田首相も分かっているに違いない。  そう考えると野田首相がTPP参加決定をあっさり決めた理由も理解 できるのである。  今の日本はTPPなどよりもはるかに大きな問題がある。  TPP参加問題に国民は惑わされてはいけないのである。                                               了                ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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