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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

二人の独裁者の死の大きな違い 
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月21日第741号 ■     =============================================================   二人の独裁者の死の大きな違い                                                 =============================================================  あらゆる独裁者の死は悲惨だ。  しかしリビアのカダフィの死とイラクのサダムフセインの死には 決定的な違いがある。  それはイラクのサダムフセインが、最後まで米国に抵抗して米国に 殺されたのとは対照的に、リビアのカダフィは、03年に米国と取引 してパンナム爆破を認め、以来米国に利用され、米国に守られて独裁 者であり続けた末に、リビア国民の手で殺された。  この違いは決定的な意味を持つ。  なぜ米国はリビアの反政府運動に距離を置き続けてきたのか。  サダムフセインの時と違ってカダフィの死を歓迎するメッセージを 大声で発しないのか。  なぜ日本政府はリビア情勢に沈黙を続けるのか。  日本のメディアはカダフィの死を複雑な表情で報じるのか。  それはウォールストリートを占拠せよと叫ぶ国民を前にして手の打て ない米国政府が、カダフィの死をひとごととは思えないからだ。  対米追従に終始してきたこの国の指導者がそんな米国の将来に不安を 抱きつつあるということだ。  日米同盟深化が国是だといい続けるこの国の指導者たちが、その表向 きの言動とは裏腹に、このままでは日本の抱える問題を解決できないと 感じはじめ、おとなしい国民がいつかは立ち上がる事を恐れるからだ。  権力ともたれあってきたメディアもそんな国民に見捨てられる事を おそれ、自らの将来に危機感を抱き始めているからだ。  もちろん米国の首相が国民から殺されることはない。  しかし米国民の怒りによって様かれているのは金融資本主義体制の非 人道性である。  そして金融資本主義は米国の支配者である。弱者を痛めつける独裁者 である。  その金融資本主義が国民の手で否定されようとしているのだ。  しかも状況は決して予断を許すものではない。金融資本主義への懐疑 と反発は世界的に広がりつつある。  日本国民は中東や欧米の国民のように直接行動に訴えることはない。  しかし、政権交代後の民主党政権もまた対米従属政策に突き進み、 国民生活を救えない事が明らかになった。  表向きの支持率の高さとは裏腹に、野田政権下で日本の矛盾が一気に 爆発するおそれがでてきた。  もはや与野党を問わず政治家は国民を救えない、税金泥棒だ、という ことになり、もはやどのような政権が出来ても、どのような政界再編が 起きようとも、国民は何も期待しなくなった。  国民による政治否定は政治家にとっての死を意味する。  メディアはしきりに繰り返す。  カダフィの死によってもリビアの前途多難だと。  リビアの国民がこれを聞いたなら、余計なお世話だと怒るだろう。  まずカダフィを自らの手で葬り去ることがリビアの国民にとって 生き延びる唯一の途だったのだ。  同じことは日本国民にも言える。  その後にどうなろうと構わない。  とにかく今の政治は役立たずだ。政治家に税金をこれ以上無駄遣い させるな。    そう国民が思い始めることこそ日本国民の反乱である。そしてそれ は起こりつつある。  カダフィの死は日本にとってそういう意味を持つのである。                              了                ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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