□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月21日第739号 ■ ============================================================= 何のための野田首相の訪韓だったのか ============================================================= 野田首相の訪韓を伝えるメディアが決まって使う表現がある。 それは、国際会議の出席は別として、野田首相が行なう一国への公式 訪問は韓国が始めてだ、という表現だ。 あの訪米でさえ国連総会出席のための訪米であり、その際行なった オバマ大統領との首脳会談も非公式なものだったというわけだ。 それでは、今度の訪韓と李明博大統領との公式会談はそれほど重要 だったのか。 断じてそうではない。 このような枕言葉をつけなければならないほど今度の野田首相の訪韓 の意義は薄かったということだ。 無意味とは言わない。しかし意義の乏しい訪韓だった。 その証拠に、今の日韓関係で最も重要な竹島問題や慰安婦問題が議論 されなかった。 これらの問題を首脳どうしで話し合わなければ、誰が話し合うと言う のか。 古文書の返還や、韓国へ外貨融通があたかも重要な成果と報じられる が、そのための訪韓だったとでも言うのか。 韓国とのEPA(二国間経済協定)が話し合われたというが、米韓 FTAが成立し、TPP参加が大問題となっている今、韓国とのEPA を急ぐ緊急必要性はない。 10月20日の読売新聞は社説でこう書いていた。 「・・・国際会議出席を除く最初の外遊先に韓国を選んだのは、野田 政権として韓国重視の姿勢を鮮明にしたものと言える・・・」 よくこんな事を書けたものだ。 米国を公式訪問し、オバマ大統領とワシントンで首脳会談したかった が米国の都合でそれが叶わなかった、と書いていたのは読売新聞では なかったか。 山口壮外務副大臣が、かつて10月6日の記者会見で、玄葉外相が 野田首相の露払いで訪韓したことについて、「本当は中国に行ってほし かったが、国慶節(建国記念日)だからしょうがないということで、 韓国に行っていただいた」と口を滑らせたことがあった。 その時、この発言が18日からの野田佳彦首相の訪韓を前にして、 韓国軽視とも受け取られかねないと批判していたのはどこの新聞で あったか。 読売新聞のその社説はこういう書き出しで始まっていた。 すなわち、「様々な懸案がある時だからこそ、日韓の頻繁に会い、 率直に意見交換することが大切だ」、と。 その通りだ。 今回の野田首相の訪間はそれだけの事である。 ゴチャゴチャと回りくどい書き方をするよりもそれだけを書いた ほうが分かりやすい。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)