□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月6日第700号 ■ ============================================================= ここまで官僚に舐められていた民主党政権の安全保障政策 ============================================================= 10月4日の各紙が小さく報じていた。 藤村修官房長官が3日の定例記者会見で、航空自衛隊と米軍の間で 2010年10月に、米軍戦闘機に自衛隊機が空中給油を可能にする 覚書を交わしていたことが分かったと明らかにしたと。 これは驚くべき発言だ。 いくら共同訓練中の事とは言え、憲法9条違反である集団的自衛権 の行使につながるこのような行動を、空自と米軍だけの覚書で約束し ていたのだ。 それを民主党政権は一年近くも知らされていなかったのだ。 この藤村官房長官の発言のどこが異常か。 まず、今頃になって1年近く前の事を発表するのは異常だ。民主党 政権が何らかの理由でこの覚書を国民に隠していたか、それともまっ たく知らされておらず、それがばれたら大問題になると思って今頃に なってさりげなく発表したか、どちらかだ。 私はもちろん後者だと思っている。 次に、この覚書は航空自衛隊と米軍の間で交わされていたという事実 だ。果たして政府部内でどこまでこの覚書について知っていたのか。 外務省との間での了解を得て行なわれたものかどうか。 たとえ外務省が知らされ、了承していたとしても、果たして外務 官僚がこれを外務大臣に知らせて了承を得ていたのかどうか。 いや、防衛省の内部でさえ、どこまで内局がその事を知って了承を 与えたかである。 まさかそんな事はあり得ないと善良な国民は思うだろうが、私は案外 防衛省の内部でも、この覚書の作成については、大臣はおろか防衛省 内局の幹部官僚たちさえ知らされていなかったのではないかと疑って いる。 もし、そうであれば、これほどのシビリアンコントロールの逸脱は ない。これはもう制服組の完全な暴走だ。 三番目に、これまでの共同訓練では米軍機から自衛隊機への給油にとど まっていたものが、今度の覚書によりはじめて航空自衛隊から米軍戦闘機 への給油を可能にしたという報道されていることである。 実戦における兵站協力はれっきとした戦争協力であり、それが憲法9条 違反であることは、自衛隊イラク派遣差し止め訴訟において2008年 4月に名古屋高裁が下した判決が認めている。 いくら共同訓練であるといっても、実戦を想定して行なわれるもので あり、その違憲性が大いに問われなくてはならない。 覚書とは条約形態の中でももっとも下位に位置づけられる文書形態だ。 その覚書で制服組が憲法違反を犯している疑いが強いのである。 それにしても民主党政権の情けなさはどうか。 2010年10月とは菅政権になって間もない頃だ。果たして菅首相は その事を知らされていたのだろうか。知らされてそれを了承したという のか。 そして野田民主党政権である。今頃になってなぜそれを発表したのか。 しかも防衛相の記者会見ではなく、防衛に素人の藤村官房長官の記者 会見で発表したのか。 それを知らされた時、野田首相はどう反応し、どのような指示をだした というのか。 藤村官房長官は、憲法解釈で禁じる集団的自衛権の行使に抵触する可能 性があるのではないかと聞かれてこう答えたという。 「そのレベルの話ではないと判断している」、と。 どういう意味なのか。何を根拠に「そのレベル」ではないのか。 そもそも「そのレベル」とは何をさしているのか。 これほど深刻な憲法9条問題にもかかわらず、そんないい加減な発言で 終わらせようとした。 すべてはごまかしだ。 安全保障政策についておよそ知見のない藤村官房長官のこの発言は防衛 官僚の振りつけた答弁そのものだ。 野田民主党政権もまた防衛省に完全に舐められている。 私がもっとも驚くのは、このような深刻な藤村官房長官の記者会見で あるのに、メディアも護憲政治家も憲法学者も、記者会見から3日も たったというのに、誰もこの問題を追及していないことである。 もはや護憲論争はこの国の政治には完全になくなってしまった。 憲法9条が泣いている。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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