□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月6日第701号 ■ ============================================================= ひとごとのように報じられる被ばく線量 ============================================================= 今日(10月6日)の各紙がさりげなく報じている。 国の放射線審議会(会長・丹羽太貫(おおつら)京大名誉教授)基本 部会が近く政府に提言することが分かった、と。 一般住民の年間被ばく線量の限度について、年1-20ミリシーベルト の間に設定することをその提言で許容する、と。 平常時の一般住民の限度は、これまでの国の告示では年1ミリシー ベルトと定められているというのに、原発事故からの復旧期は年1-20 ミリシーベルトという「中間目標」に緩和する、と。 多くの国民はこのニュースを知っても自分に関係する事は無いと思って ピントこないに違いない。 実際のところ、福島、とその近県やホットスポットに住む国民を除いて、 全国の1億2-3千万人の国民には直接の関係はないニュースだ。 20ミリシーベルトはおろか、1ミリシーベルとでさえ自分には関係 ない。 それをいいことに、この深刻な提言が、大きな議論もなされずに近く 提言され、政府の方針にされてしまうのだ。 なぜ今このニュースが流れたか。それは政府が流したからだ。 観測気球を上げたのだ。 これを流しておいて世論の反発が起きなければそれを政府の方針とする のだ。 その事によって放射線被ばく問題という厄介な問題を風化させようと しているのだ。 これでは被ばく住民は浮かばれない。 年間1ミリシーベルトがこれまで国が告知している安全基準であると いうのに、それを復旧期といい、中間目標といい、暫定値といって、 20ミリシーベルトまで許容範囲を引き上げる。 1-20ミリシーベルトという幅がいかに曖昧で危険か。それ故に住民を 不安に陥れることか。 これは、被ばく地に住む者にしかわからない。 もし東京を始めとした大都会がこの許容範囲にまで被ばくしているなら 大騒ぎになっていたことだろう。 これは政府が国民を平等に扱っていない証拠だ。 国民もまた被ばく民のことを自分のように考えていない証拠だ。 こうして福島の住民は切り捨てられていく。あたかも沖縄住民と同じだ。 私はその事を福島に行って知った。そこに住み続けざるを得ない母子の 不安を知った。それを助けようとしている人たちの苦労を知った。 本来なら国が率先して、あらゆる事に優先して放射線被ばく者を救う施策 を講じなければならないのに、この鈍感さ、緩慢さは何だ。 この記事を報じる栃木の地方紙「下野新聞」はその解説で、次のように 審議会基本部会の立場を代弁している。 「年1ミリシーベルトを絶対的な基準のような形で社会が理解して しまった。」 「1ミリシーベルトという数値がどんどん走っていく。」 「まずは実現可能な目標を設定して、被ばく低減を図るべきだ」、と。 栃木もまた被ばく地である。特に北部は軒並み年間1ミリシーベルトを 超える。 その栃木の地方紙までもが「現状受け入れやむを得ず」と言い出している。 今度の福島原発事故がいみじくも露呈したことは、「世界で唯一の被曝国 である」ということを売り物にしてきた日本という国が、その実、まったく 放射線汚染に鈍感な国であり、国民であったということではないのか。 「世界で唯一の被曝国」が泣いている。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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