□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年7月1日発行 第469号 ■ =============================================================== 日本を変えられるかどうか、国民もまた試されている =============================================================== 今日(7月1日)の朝日新聞「私の視点」に注目すべき記事を見つけた。 それはロバート・ゲイルという米国人医師の寄稿記事である。 彼は旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の際、米国から現地入りして被爆者 の救命にあたったという。 その彼が、チェルノブイリ原発事故と福島原発事故とを比較して、政府や 人々の反応がとてもよく似ていると、次のように指摘している。 すなわち原子力事故については、どんな政府であれ、原子力問題に慣れて いない政治家たちが、根底を理解することなく対応せざるを得ないため、 ソ連であれ、他の国であれ、あらゆる政府はまず黙り込むか、否定する。 しかしいずれ政府は情報を出さざるを得なくなる。放射能危機はグローバル な問題であり、世界中の人が監視しているからだ。 チェルノブイリ事故の際も、ソ連政府は否定したが、国民に知られてしま った。そうしたら今度は政府が一転して情報を垂れ流したため、今度は国民 が情報を処理できずにかえって混乱を助長することになった、と。 その通りだ。 しかし、私が注目したのは、その後に続く次の言葉である。 「・・・ソ連の崩壊には、チェルノブイリ事故が多かれ少なかれ影響している だろう。事故をめぐる情報政策の失敗で、あの国は完全に信頼性を失ってしまい、 それ以降に起きた様々な出来事につながっていった・・・」 そして彼は言う。 「福島の原発事故の後、日本人の態度や行動に変化が起きた。人々は自ら声を 上げるようになり、不平も口にするようになった。これは短期的には社会に不和 や分裂を生み出すかもしれない。しかし、長期的には民主主義を成熟させる 可能性も秘めているのだ」、と。 そうだろうか。 私はゲイル氏ほど、今度の原発事故をきっかけに日本人が変わったとは思わない。 それどころか、国民の怒りは封じ込められつつあるようにすら思う。 しかし、その一方で、何かのきっかけでおとなしい国民の怒りが爆発する予感も 感じている。 そのきっかけとなりうるのが、放射能被曝に対する政府の無策だ。財政赤字や 少子高齢化に対応し切れずどんどんと国民生活を追い詰める政府への怒りだ。 自国民よりも米国の利益を優先するこの国の為政者たちの対米従属ぶりだ。 なによりもそのような無能な政治家や官僚が、何の反省もなく保身と権力争い に明け暮れ、税金を浪費していることだ。 そしてそれを追及しない大手メディアの反国民性だ。 何かのきっかけで国民が目覚めればその怒りは爆発するかもしれない。 それを一番知っているのは政治家であり官僚であり、大手メディアに違いない。 このところ与党も野党も解散を恐れている。 官僚たちも政治的判断待ちを口実に自ら動こうとしない。 そして大手メディアがすっかり政治ニュースを控えるようになった。 あたかも世論の怒りが爆発することを恐れているかのようだ。 果たして国民は動き出すのだろうか。それとも、原発事故が起きても、何の 動きを見せないまま我慢して終わってしまうのか。 日本を変えられるかどうか、国民もまた試されている 了

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