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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

 シベリア抑留者補償協議会の解散に思う
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年6月15日発行 第416号 ■     ===============================================================   シベリア抑留者補償協議会の解散に思う     ===============================================================  さる5月24日の新聞に、国会近くの憲政記念会館で全国抑留者補償協議会 の解散の集いが行なわれたという小さな記事があった。  そのことについて書こうと思いながら書きそびれていたが、サンデー毎日6月 26日号に岩見隆夫氏が私の思いを次のように語ってくれていた。  「・・・ソ連のスターリン首相が『日本人捕虜50万人移送』の秘密司令を 出したのは、対日宣戦布告をした直後の1945年8月8日である。約60万人 がソ連軍に連行され、長期間の収容所生活を送り、極寒、飢餓、重労働の中で 約6万人が死亡した・・・生存者の帰還が終了したのは56年暮れ、全国抑留者 補償協議会(全抑協)が結成されたのは79年5月、以来32年間の交渉をへて 昨年6月、戦後強制抑留者特別措置法が全会一致で成立した。その結果今回の 解散に至ったのである・・・  全抑協の最後の会長をつとめた平塚光雄さん(84)の場合、山形の寒村から 15歳で従軍、敗戦後18歳でシベリアへ連行された。零下30度の凍土のもと で4年間、森林伐採などをやらされる。100グラムの黒パンに、岩塩を溶かし たスープだけの食事・・・200人の仲間が帰国時には半減していた。  帰ってみると、『共産主義に洗脳された』と中傷され、10年近く就職もまま ならなかった・・・その平塚会長は『まことに喜びにたえません。長生きして よかったと一同感動しています。ただ、シベリアで労苦をともにした韓国や 台湾・中国の元抑留者の問題も残っています』とお礼を述べた。  しかし、私は釈然としなかった。挨拶を求められたので『遅いといっても遅す ぎる。みなさんはもう90歳近いですよ。なぜ未完なのか。私は政治の薄情を 感じます。情のこもる政治をして下さい』と述べた。政治家はほとんど会場から 退出したあとだった・・・」  戦後最大の組織的、計画的な拉致事件とも言われたシベリア抑留については、 その問題の深刻性にくらべ世間の注目があまりにも少ないと思うのは私だけ だろうか。  戦後史を学び、語る時、太平洋戦争や中国・韓国への侵略問題にくらべ、日ソ 関係についての関心があまりにも低いのはなぜか。  なぜシベリア抑留の残酷さ、不透明さが国民的問題としてもっと声高に語られ なにのか。  岩見隆史氏のこの記事にもその理由は語られていない。  今回の全国抑留者補償協議会の解散によって、日本戦後史の間違いなく最大の 問題の一つであるシベリア抑留問題は歴史の彼方に追いやられてしまうだろう。  日本が戦争を知らない世代ばかりになる時、シベリア抑留問題はその存在さえ 語られなくなるだろう。  決してそうさせてはいけない。  日本が経験した戦争については、そのどの一部分でも、名誉も、過ちも、悲し みも、怒りも、悔恨も、すべて等しいのだ。  後世の日本国民はそれらをすべて等しく記憶にとどめ、語り続けていかなけれ ばならないと思う。  シベリア抑留問題もまた、戦争を知らない日本国民が忘れてはいけない日本の 戦争の一断片である。                                 了

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