□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年6月6日発行 第391号 ■ =============================================================== オバマ大統領の和平提案を拒否したイスラエル首相を絶賛した桜井よしこ =============================================================== 少し前の記事になるがどうしても書きとどめておきたいと思った。 週刊ダイヤモンドの6月4日号において、ジャーナリストの桜井 よしこ氏が、菅直人首相の指導力のなさを批判していた(オピニオ ン縦横無尽)。 辞任を口にしたとたんに政局が急展開し、もはや菅首相批判は今と なっては意味をなさなくなったが、私が彼女のコラムを引用した理由は 彼女の菅批判について書くことではない。 菅首相の指導力のなさを批判するため、その対比としてオバマ大統領 の和平提案を拒否したイスラエル首相の強硬姿勢を絶賛した、その無知、 無神経さを指摘したかったのだ。 「指導者の真価は試練のなかでこそ発揮される・・・能力のある指導 者を擁する国は国難を踏み台にしてよみがえり、能力なき指導者の国は 国難ゆえに沈没する・・・」 こういう書き出しではじまる桜井よしこ氏のその「オピニオン」は 次のようにイスラエル首相を絶賛する。 ・・・イスラエルは今、窮地にある。オバマ大統領の5月19日の 中東政策(演説)は、イスラエルに占領地からの撤退という非常に厳 しい譲歩を求める内容だった。これまでイスラエルの後ろ盾として 振る舞ってきた米国が、いきなり最も厳しい要求を突きつけたのだ・・・ (これに対し)5月24日、米議会の演壇でネタニエフ首相はきっぱり とオバマ大統領の要請を拒絶した。驚いたのは、米議会で米大統領の 外交方針を受け入れられないと突っぱねた50分余の演説に、米国議会 の面々がなんと26回もスタンディングオベーションを送ったことだ・・ (この演説をただちに分析した)中東専門家が一様に指摘したのはネタ ニエフ演説の内容の見事さだった。私も同感だった・・・ これほど絶賛するネタニエフ首相の50分余の演説を私はすべて聞い たわけではない。 しかしその演説の内容は、桜井よしこ氏が述べる次の言葉を聞いただけ でだけで十分に推測できる。 「・・・イスラエルの主張を、歴史をひもときながらていねいに 繰り返し、オバマ政策の見直しを求めるのだが、それらが具体的事実 に裏付けられているために納得させられてしまう。ネタニエフ首相は イスラエルの価値観がどれほど米国のそれと一致しているか、エルサ レムでの信仰の自由を保障してきたのは民主主義国家のイスラエルだけ だったと述べたときにはとりわけ大きな拍手が長く続いた・・・イスラ エルには大きな譲歩の用意があること、平和構築にパレスチナが真剣で あればパレスチナの国連加盟推進の先頭に立つとまで述べた・・・」 中東和平の歴史の正統性を語る時は、真っ向から対立するイスラエル とパレスチナの双方の意見に耳を傾けなければ片手落ちだ。 米国の政治家でユダヤロビーの影響を免れるものはいないことを誰もが 知っている。 イスラエルがパレスチナを「平和構築に真剣な存在である」と認める ことはない。どんなにパレスチナが譲歩しても真剣でないといい続け、 それを口実にあらゆるパレスチナの譲歩案を拒否し続ける。これがイス ラエルの一貫した戦略である。 桜井氏はそれらを知らないはずはない。知っていながらイスラエルを ここまで一方的に絶賛する桜井氏はユダヤロビーそのものだ。 知らずにネタニヤフ首相の演説を絶賛したとすれば、あまりにも無知 だ。メディアで自らのオピニオンを語る資格はない。 了

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