□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年6月3日発行 第384号 ■ =============================================================== 「菅降ろしの裏に原発の影」という東京新聞の解説記事に思う =============================================================== 6月3日の各紙の報道やテレビ解説はどれを読んでも、聞いても 同じでつまらない。 そんな中で東京新聞こちら特報部に「菅降ろしに原発の影」という 記事に注目した。 様々な関係者の言葉を引用して書かれたその記事は、菅首相は原発 見直しを進めようとしたから潰されたのではないかと、要旨次のよう に推論している。 ・・・それにしても「菅降ろし」の風は、なぜ、今これほどの力を 得たのか。背後に見え隠れするのは「原発の影」だ。初の市民運動 出身宰相は、この国の禁忌に触れたのではないか。自公や財界が一番 手を突っ込まれたくないところに手を突っ込んだ。労働組合とはいえ 労使一体でエネルギーの安定供給や地球温暖化対策などを理由に原発 推進を掲げてきた。つまりエネルギー政策の見直しを打ち出した菅 首相はこれだけの勢力を敵に回した。それを小沢氏があおったのでは ないか・・・ 違う。 菅首相は自らの原発政策の不明に自滅したのだ。 原発政策は誰もが疑わない国策として進められてきた。 それを「フクシマ」が見事に打ち砕いた。原発政策は人間性に 反する、と。 菅首相自身がそれを正しく認識し、国民を覚醒させ、国民の支持を 背にして原発政策の見直しを打ち出せば、どのような既存勢力もそれに 反対できなかったはずだ。 菅首相はそうしなかった。そういう自覚はなかった。 それどころか保身のために脱原発を利用した。 浜岡原発停止を要求する一方で、原発政策は継続すると言って国内 の原発推進勢力や米仏に迎合した。 市民派出身でありながら市民派を裏切った。 東京新聞の記事はこう締めくくっている。 「結局、菅首相は『死に体』となり、発送電分離や再生可能エネルギ ー拡大への道筋は不透明になった。『フクシマ』を招いた原子力政策の 問題点もうやむやになってしまうのか。すべてを『菅政権の不手際』で 収束させるシナリオが進行している」 これも違う。 脱原発の流れは変わらない。菅首相の不手際がその流れに水をさす ことになっても、そして原発政策推進勢力が復活しようとしても、 国民の覚醒があれば誰もそれを妨げられないだろう。 問題はそのような指導者が現れるかである。 いや、どのような指導者になろうとも、国民がそれを求めるところ まで覚醒できるかである。 我々もまた試されている。 了

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