□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年6月2日発行 第382号 ■ =============================================================== 普天間基地問題のあらたな流れを危惧する =============================================================== どうやら政府、官僚は、在沖縄海兵隊や米軍基地の機能を総合的に 見直し、それらを沖縄県外の国内に分割移転させる事によって普天間 問題を乗り切る方向に舵を切ったようだ。 山口県の岩国基地とか鹿児島県の馬毛島であるとか、在日米軍の 機能の国内たらいまわしの報道が最近頻繁に見られるようになった。 一般国民は在日米軍の機能の再編成などは何のことかわからない。 そこにかこつけて国民の知らないところで米軍と防衛省の間の話し 合いが進められている。 気がついたらそれが普天間基地問題の落としどころとして発表され るというわけだ。 その決め台詞は「日本の安全保障を確保するためには在日米軍の 抑止力は必要だ。そうである以上、沖縄の負担を国民全体で分担する しかないだろう」、これである。 抑止力を減じることなく沖縄の負担軽減を図る必要性があると言い 出したのはレビン提案である。米国に異存はない。 沖縄の負担軽減は沖縄が言い続けていることだ。沖縄の米軍機能の 一部を本土も引き受けてくれと仲井真知事も言ってきた。その通りに なるのだから仲井真知事も反対できない。 在日米軍基地を新たに押し付けられる国内候補地はもちろん反対 するだろう。 しかし、多少の負担で済むならば、餌をぶら下げて、「日本の安全 保障のためだ」と頼まれれば、止むを得ないと引き受けてしまう。 はたして政府のもくろみ通りこの流れに向かうのか。 それを予感させてくれる記事を6月2日の日経新聞「大機、小機」 というコラムに見つけた。 そのコラムはこう書いている。 近年、中国が極東において軍事的プレゼンスを大きく強め、東アジア の戦略環境に変化が生じている。もはや日本列島全域を守るための基地 負担を沖縄に押し付けていれば済む話ではなく、普天間問題は国民全体 の問題として解決していかなければならない、と。 典型的な日米同盟擁護論だ。なし崩し的な在日米軍の永久固定化だ。 このような評論がメディアに頻繁に見られるようになったら要注意だ。 原発問題や政局騒動で世の中が気を取られている裏でこのような動き が水面下で進んでいる。 その動きに対して共産党や社民党が国会の場で厳しく追及する気配は 感じられない。 この国の平和運動は絶望的になりつつあると私は思っている。 了

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