□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月12日発行 第332号 ■ =============================================================== 普天間問題の仕切り直しを求めた米議会の衝撃 =============================================================== 誰も書かないうちに急いで書いて置く。今日の最大のニュースは、 ついに米議会が普天間問題の見直しについて米政府に提言した、と いう第一報だ。 これが菅民主党政権に与える衝撃は図りしれない。 ウィキリークスによって明るみにでた米外交公電は、普天間問題の 日米合意に固執するのは実は日本側であったという欺瞞を暴露した。 これだけでも衝撃的であるのに、ついに米議会がその日本側の対米 従属ぶりに、もう無理をする必要は無い、といい出したのだ。 菅民主党政権と外務・防衛官僚たちは大慌てしているに違いない。 米国議会が反対する最大の理由は米国の財政困難だ。そこまでして 今移転を進める必要性はない。在沖縄の米軍の再編成ですませろ、と いうことだ。 私が驚いたのはこの米国議会の動きについて意見を求められた枝野 官房長官が12日午前の記者会見で、「米国議会と米国政府は違う。 日本は米国政府との合意をあくまでも実施していく」と答えたことだ。 我々国民はこの枝野発言を末永く記憶にとどめておかなければなら ない。 この発言は日本側の希望的発言だ。しかしそれが如何にピントはず れであるかが、すぐにわかることになる。 見ているがいい。オバマ大統領はこの米国議会の提言に従うことに なるだろう。 今のオバマ政権には議会に反対してマデモグアム移転に固執する 力はない。米国の財政赤字はそれほど深刻なのだ。日本がグアム移転 経費の全額を負担でもしない限り、米国行政府がグアム移転を急ぐ 理由はない。 グアム移転が延期されれば、パッケージとして合意した辺野古代替 施設の建設を日本政府が進める根拠がなくなる。日米合意は白紙に 戻る。 パネッタ新国防長官が7月に就任した後に、仕切り直しを日本側に 伝えてくることになるだろう。 日本側がなぜ日米合意に固執するのか。それは今となってはその ほうが楽だからだ。 グアム移転経費の更なる負担増を求められれば国民に対し説明が つかなくなる。 普天間基地の固定化や嘉手納再編・強化は沖縄住民が認めない。 何があっても今の日米合意通りに物事を進めるほうが楽なのだ。 ひょっとして日本側は米国に対し、「米国議会の反対に抵抗して くれ」と頼みこむのかもしれない。 しかしウィキリークスで暴露される恐れがあるため、それさえも 言えないのかもしれない。 本来ならば菅首相は仕切り直しをチャンスと捉えて、沖縄住民の 声を米側に伝えて米軍基地の撤退を求めるべきである。 浜岡原発の停止要請を行なったように菅首相がこの機会に米国にそれ を申し入れるようだと私は菅首相を見直す。 しかし訪米を実現し、長期政権をもくろむ菅首相が、それを行なう とは到底思えない。 果たして菅首相は沖縄問題にどう取り組むか。 原発問題以上に日米同盟は菅首相にとっての最大の課題である。 私は注目している。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)