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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

賛成したくても出来ない菅首相のエネルギー政策白紙撤回発言 
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月11日発行 第328号 ■     ===============================================================   賛成したくても出来ない菅首相のエネルギー政策白紙撤回発言   ===============================================================  私のメルマガに耳を傾けたとは思わないが、菅首相がエネルギー 政策を白紙に戻して脱原発エネルギーを目指すと言い出した。  これには驚いた。  菅首相の決断の早さに驚いたのではない。  国家の一大重要政策を、その決定に至る自らの考えや実現のため のロードマップなくして、まるで自分が決断したら何でもできると いわんばかりに宣言する、その傲慢さと無責任さにあきれたのだ。  私の主張とは似て非なるものである。  これでは国民を説得できる正しいエネルギー政策は、できるもの もできなくなる。  今日(5月11日)の各紙を読んで様々なことが明確になった。  今度の白紙撤回宣言は、玄葉政調会長や岡田幹事長に知らされて いなかったという。これでは閣議決定はおろか閣内での議論も、なに も無かったということだ。  しかし、私がもっと驚いたことは、大震災2ヶ月目に当たる今日 (5月11日)の各紙の報道で、大震災の復旧、復興対策が何一つ 進んでいない事をあらためて知らされたことだ。  復興構想会議はすでに破綻しているも同然だ。  がれきの山はそのままだ。  放射能汚染の恐怖はなくならず、一時避難の復帰のメドは立たない。  それどころか福島原発は今でも危険なままだ。  もっと驚くのは、震災前のこの国の大問題がすべて頓挫している ことである。  国の借金は過去最高記録を更新し、年金記録の不一致はなくなら ない(読売)。政治生命をかけると公言したTPPや社会保障と税の 一体改革はもはや反故にされたも同然だ。松本外相は、ついに6月中 の訪米はないと10日の記者会見で認めた(朝日)。  これだけ大問題が手つかずだというのに、民主党は10日の常任 幹事会で民主党の憲法調査会を4年ぶりに復活させ、前原誠司前外相 を会長とすることに決めた。国家の一大事業である憲法改正にまで手 をつけようというのだ。  これは一体何なのだ。次から次へと大問題を抱え込んでいこうとして いる。  そんな中で、今度はエネルギー政策の白紙撤回である。  とても本気とは思えない。だから色々と取り沙汰されるのだ。  小沢つぶしの延命策ではないのか、サミット対策ではないのか、 米軍基地の安全を最優先する米国の圧力に従っただけではないのか、 福島社民党党首の点稼ぎに乗ってしまったのではないか、などなど。  さすがの大手メディアも今回の菅首相の記者会見についてはその報道 振りは冷淡だ。これだけ大きな問題であるというのにその扱いは驚く ほど小さい。  もはや菅対小沢とか、民主対自民といった話ではなくなった。  誰かが何とかしないとこの国は本当に行き詰まってしまう。                              了

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