□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月6日発行 第321号 ■ =============================================================== ウィキリークスは日本外交にとっての大地震・津波である =============================================================== 新聞休刊日の今日(5月6日)、私は5月4日の朝日新聞のウィキ リークスに関するスクープ第特集記事を注意深く読んでみた。そして その衝撃度について再認識した。これは原発に対する大震災・津波 と同じように、日米外交に対する大地震・津波である。 大地震・津波という天災が奇しくもこの国の原発政策という人災を あぶり出し、その権力犯罪が国民の知るところとなった。はや原発 政策の根本的見直しは不可避であろう。 金と権力に任せた通産官僚の反国民性が国民の怒りに火をつけ、 官僚支配を許したこの国の政治家の無能、無責任さが問われることに なった。 もはや元には戻れない。原発はすぐには廃止されないだろうが、 それを擁護する者はやがて舞台から消え、脱原発エネルギー政策は 時とともに確実に進んでいくだろう。 いま、まさにそれと同じような事が日本の外交ではじまろうとして いるのだ。 5月4日の朝日新聞の大特集記事は日米外交関係の実態のほんの 一部を報じただけに過ぎない。しかしそれだけでも十分である。 外務官僚が国民の血税を詐欺までして米国に差し出していたのだ。 しかも米国に対して進んでそれを入れ知恵していたのだ。国民は 政府・外務官僚を背任罪で訴えなければならないほどの犯罪である。 そしてウィキリークスが白日の下にさらしたこの背信こそ、戦後の 対米外交を貫いてきた権力犯罪なのである。すなわち日本国民の利益 より米国の利益を優先する外交、これである。その結果、日本がここ まで困窮に追い込まれてしまった。 もはやこれからはそんな日本外交は許されない。国民が許さない。 日米外交に携わってきたこれまでの政治家、官僚、御用学者たちは、 いかに言い訳や詭弁を弄しようが、もはや表舞台にとどまることは できないだろう。時とともにその影響力は急速に失せていくだろう。 それにともなって日米同盟最重視の政策も見直されることになる。 原発政策の見直しがなされなければこの国の将来がないと同様に、 日米同盟の見直しなくして日本の将来はない。 今すぐにそうならなくても、時とともに必ずそうなっていく。 そうならなくてはいけない。 ウィキリークスは日本外交にとっての東日本大震災である。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)