□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月27日発行 第302号 ■ =============================================================== 日本にイラン油田開発を禁じた米国の裏切り =============================================================== 中東がらみの話をもう一つ書いておきたい。今度はイランに 関するものだ。 4月24日の産経新聞が重要な記事を掲載していた。すなわち 核開発疑惑を持たれているイランへの経済制裁をめぐり米国は日本 に対しイランのアザデガン油田開発から撤退するよう圧力をかけ 続けた。そして日本はそれに従って折角手にした10%の自主油田 権益を放棄した。 ところが米国は中国企業に対しては制裁対象とせず容認してきた というのだ。その結果中国はアザデガン油田の権益の70%を手に している。 何と言う米国のダブルスタンダード(二重基準)であることか。 産経新聞が書いている日米間のやり取りは屈辱的である。 スタインバーグ国務副長官は藤崎一郎駐米大使に対し、数回にも わたって撤退しなければ制裁するぞと圧力をかけたという。 その脅しにおののいて利権を放棄した後に、中国には制裁が適用され ないことを知って説明を求めたところ、スタインバーグは「イランで 新しい事業を始めているわけではないから、制裁対象にする必要はない」 と説明にならない説明をしたという。 それに対して日本側がどう反論したか産経新聞は書いていない。 産経新聞が書いているのは関係筋の次の言葉だけだ。 「東日本大震災でのトモダチ作戦はありがたいが、それとこれとは別。 米側に振り回された」。 米国に対して正面から反論できず、後になってひとり愚痴って泣き寝 入りで終わる。 これではまともな日米同盟関係などありえない。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)