□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月21日発行 第290号 ■ =============================================================== 「ボロでも神輿だ」といって菅首相を擁護する毎日の論説委員 =============================================================== 大手新聞を毎日読んでいる私が言うのだから間違いない。 菅首相を擁護し続ける大手新聞の筆頭は朝日と毎日だ。 その中でも朝日の星浩編集委員と毎日の倉重篤郎論説委員 の二人は際立っている。 その倉重論説委員が4月21日の発信箱でこう書いていた。 あの中曽根大勲位でさえ29年前は田中派の有力幹部である 金丸信氏に「あんなオンボロ神輿を担げるか」と言われた。 それに対し同じく田中派の後藤田正晴氏は「ボロ神輿なら修繕 して担げばいい」と反論した。結果的には5年間総理をつとめ、 行財政改革や国鉄民営化をやり遂げた、と。 いかにも旧世代の政治記者が喜んで書きそうな昔の政治話だ。 私が驚いたのはその後に続く菅首相に対する応援の言葉である。 さすがに支持率が低迷し、やることなすことケチをつけられる 菅首相のオンボロぶりを認めた上で、倉重氏はこう続ける。今 菅首相を変える大義はない、原発政策は自民党が進めたものだ、 辞める気のない首相を退陣に追い込む唯一の手段は内閣不信任案 の衆院可決だが、小沢派にその数はない、と。 すでに言い古された菅首相擁護だ。 しかし私が注目したのはその後に続く次の言葉だ。 「ボロでも神輿だ。なぜ修繕して使おうという発想にならない のか・・・昔の保守政治には奥行きと寛容さがあった」、と。 愚痴とも恨み節とも聞こえるこんな弱気な言葉を倉重論説委員 が書くのは初めてだ。 おりしも4月21日の朝日新聞は、菅首相と官邸で会談した亀井 静香国民新党代表が、その直後に記者団に語ったという次の言葉を 報じていた。 「総理は地位に恋々としないで復興対策に全力を挙げる強い決意 だった」 ひょっとして菅首相は長くないのかもしれない。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)