□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月15日発行 第272号 ■ =============================================================== 絵に画いたようなお手盛り外遊だ =============================================================== ある雑誌を読んでいて思わず膝を打った記事があった。 この大震災の中でさぞかし忙しくしていると思いきや、実は 官僚たちは暇を持て遊んでいるというのだ。 その理由は、政治家が右往左往している中で下手に口を挟んで 怒鳴られては叶わない、政治家たちのお手並みを拝見するにしく はない、と静かにしているというのだ。 それは当たっている。それが官僚の本性なのだ。 しかしそれだけではない。 何も仕事をしなければ無用の存在だと思われる。新聞の話題にも ならない。それでは淋しい。だからどうでもいいことには熱心に 仕事をつくる。 その典型が連休中の閣僚の外遊である。 今日(4月15日)の新聞に、松本剛明外務大臣が4月29日の米国 訪問を皮切りにドイツ、セネガル、ベルギーなどを長期外遊する 計画である事が書かれていた。 ふざけた話だ。クリントン国務長官が17日に訪日し首相や外相と 会談する事が決まっている。 それなのに、その直後に米国を訪問する理由などどこにもない。 ドイツ、セネガル、ベルギーへの訪問に至っては、いずれももっとも らしい理由が並べられているが、およそ緊急必要性はないものばかりだ。 しかし外務官僚は新任の松本外相のために外遊をお膳立てする。 それが外務官僚の仕事なのである。 原発事故の実情を世界に知らせる原発事故外交こそが今彼らがすべき 仕事であるのに、そのような難しい外交には手をつけようとせず、外遊 と言う名で各国の日本大使館めぐりをする内交のお膳立てする。 こんな易しい仕事はない。 絵に画いたようなお手盛り外交である。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)