□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月15日発行 第270号 ■ =============================================================== 松本参与の暴露発言は政局そのものだ =============================================================== 格好の政局ネタだからいずれメディアも書き立てるに違いない。 その前に書いておきたい。 昨日(4月14日)のメルマガ第269号で私は書いた。 大手新聞やテレビはもっと真実を報道せよ、と。 調査報道をもっと重視し、みずから取材して真実を突き止め、 政治的配慮から手加減するのではなく、それをそのまま国民に 知らせよと。 菅首相が原発周辺について「20年は住めない」と発言したと 松本健一内閣参与が暴露し、その後菅首相が言っていないと反論 し、松本参与が直ちに、あれは自分の発言だった、首相は言って いない、と訂正した事件は、その典型である。 メディアは真相を突き止める気があるのか。それを書けるのか。 そう思っていたら、昨日(4月14日)発売の週刊新潮4月21日 号に菅首相と仙谷官房副長官の間に修復しがたい亀裂が生じている、 という記事を見つけた。 そしてその理由が大震災復興計画をめぐる菅首相と仙谷官房副長官 の主導権争いであると、その週刊新潮の記事は書いていた。 すなわち大震災復興計画は、復興庁をあらたに新設し、与野党一致 して事にあたると当初は報じられてきた。 そしてその重要な任に当たる復興担当大臣には、官僚たちを掌握 している影の総理・仙谷副官房長官が任命されるだろう、と報道 されてきた。 ところが蓋を開けてみたら復興庁の新設は見送られ、菅首相みず からが事にあたる事になった。 菅抜きで与野党の大連立をもくろむ仙谷官房副長官の魂胆を見抜い た菅首相が、「寝首を搔かれる」ことを恐れて、仙谷外しに走った というわけだ。 さらにその記事は、「もう菅総理ではむり、でも引きずり下す大義 名分ときっかけがない」と仙谷氏が公明党幹部に語っていたという 事も書かれている。 これで合点が行った。 松本健一参与の暴露発言は仙谷氏の意思返しだったのではないか。 松本氏が暴露発言をしたのは、菅首相と復興会議について話した 直後の13日の記者会見であった。 おそらく、なぜ復興庁をつくらないのか。なぜ復興担当大臣を置か ないのか、という議論が交わされたのではないか。 松本健一氏は仙谷官房副長官とは東大時代の学友で、仙谷官房 副長官の影響力で内閣参与になったと言われている事も符合する。 週刊新潮の記事の原稿は、もちろん松本健一参与の暴露発言が行な われる前に書かれているはずだ。 従って週刊新潮のその記事は松本氏の暴露発言と菅・仙谷の確執の 関連性については一言も言及がない。 しかし、復興計画をめぐる菅首相と仙谷官房副長官の確執は、すでに その原稿執筆時には、もはや修復できないところまで来ていたという ことだ。 民主党はいまや菅・仙谷対小沢の争いという単純な構図から、 菅・仙谷・小沢による三つ巴の争いとなってしまったようだ。 どうやら日本の政治は完全な大震災政局に突入してしまったようだ。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)