□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月13日発行 第264号 ■ =============================================================== 放射線汚染の影響はわからないことばかりだ =============================================================== 菅首相は12日の記者会見で、これからは人命救済、救援から 復旧、復興へと歩みを進めていかなければならない、と言った。 復興会議もすでに立ち上がった。 しかし、菅首相が復興会議を発表したその日に、政府は福島 第一原発から20キロの圏外まで避難区域を広げることを決めた。 その理由も、避難拡大地域の詳細なども、十分に知らされない ままの見切り発車だった。 自治体からの猜疑心と不満の声が上げられたという。 当然だろう。 事故発生から一ヶ月たった今頃になって、なぜ避難区域の拡大か。 その理由は、1年間の被曝量を積算した上での配慮であるという (4月12日読売)。 同じ日(12日)の朝日新聞は、原発作業員が放射能への不安から 体内の被曝量を早期に検査するよう求める声が高まっていると報じ ていた。 積算被曝量といい、体内被曝量といい、その怖さは、後で被害の 影響が出てからはじめてわかることだ。だからこそ不安が高まるの である。 その朝日新聞は、同時に福島第一原発の復旧作業中に高レベルの 放射線を浴びた作業員3人について、千葉市の放射線医学総合研究 所が4月11日、リンパ球の数の減少など健康状態に問題はなかっ たと発表した事を掲載していた。 朝日新聞は、その記事で国民の不安感をそらし、菅首相の援護 射撃をしようとするのなら大きな間違いだ。 放射線被害による異常が今見つかったら、それこそ大変だ。生死 にかかわることになる。 彼らの体内被曝はどの程度なのか。 その後それがどのような形で健康に影響を及ぼしていくのか。 それこそが重要なのである。 そしてそれは誰もわからない。 放射線被害はわからないことだらけだ。 それを報じるメディアの報道は、もっとわかりにくい。 だから国民はいつまでたっても不安から免れないのだ。 政府、メディアの責任は大きい。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)