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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

原発事故の裏で進む日米同盟深化の実態
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月13日発行 第265号 ■     ===============================================================     原発事故の裏で進む日米同盟深化の実態       ===============================================================  原発事故をめぐる報道はわからないことばかりだが、その中 でもわからないのは原発事故の下で進む日米同盟深化の実態だ。  それは「おともだち作戦」という呼び名でごまかされるような 震災救援についてのほほえましい話では勿論ない。  日米軍事関係の更なる従属化である。  4月13日の読売新聞の「東日本大震災―日米連携で同盟深化」 という特集記事は、はからずもその一端を教えてくれた。  震災発生からわずか5時間ほど後の3月11日午後6時15分、 折木統合幕僚長は防衛省内の自室でフィールド在日米軍司令官に 電話し、ただちに自衛隊と米軍による「日米共同調整所」を設置 することで合意したという。  日米共同調整所は1997年の「日米防衛協力の指針(ガイド ライン)」で決められた機関だ。  日本への武力攻撃が行なわれた時や、周辺事態の際に、意思疎通 を円滑にするために設けられる機関である。  私が注目したのは、日米共同調整所の設置を最終的に誰が承認 したかということである。  読売新聞の記事によれば、有事を想定して作られたガイドライン を拡大解釈して今度の災害時にそれを設置することにしたという。  その事について防衛省内に異論があったにもかかわらず、「今回 は有事に順ずる未曾有の大災害だから、特別な対応が必要だ」と いう意見が「勝った」と言う。  問題は誰がそれを決定したかだ。  事務次官なのか。北沢防衛大臣なのか。そして菅首相はそれを 事前に知らされ、了承したのか。  もしそのいずれでもなければ折木統合幕僚長が決めたという事だ。  明確なシビリアンコントロールの逸脱だ。  私がもっと驚いたのは米軍が独自に動いたという事実だ。  防衛省も知らされないままに、従って北沢防衛大臣も菅首相も まったく知らないところで、約1500キロメートル離れた西太平洋 上にいた原子力空母「ロナルド・レーガン」や、マレーシアに寄港中 の強襲揚陸艦「エセックス」や、シンガポールにいた海軍第7艦隊の 指揮艦「ブルーリッジ」が動員されたのだ。  在日米軍司令部は「日本から要請された際、直ちに動けるための 準備だった」と説明しているというが、日本が要請出動したという 気配はこれまでの報道を見る限りまったくない。  要するに、有事の際の米軍の行動は米軍に白紙委任され、自衛隊 幹部と米軍の間でそれが実施されているということだ。  それは日米安保条約や日米地位協定の解釈とはもはや関係なしに 行なわれているということだ。  一昔前では大騒ぎになる話だ。  いまでは護憲政党さえも沈黙する日米同盟深化の、これが実態 である。                            了

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