□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月12日発行 第260号 ■ =============================================================== 「9・11」と「3・11」を安易に同列視することを叱る =============================================================== 4月11日の日経新聞「核心」において滝田洋一編集委員 が書いていた。 米国の「9・11」と日本の「3・11」は一国のみならず 世界中を震え上がらせ、世の中をガラリと変えてしまった点で、 相似性を描いている、と。 「9・11」と「3・11」を貫くのは、当たり前と思って いた何でもない日常の喪失である。確実性が失われることで、 個人も企業も先行きの見取り図を失ってしまった、と。 無意味なこじつけだ。 「9・11」は米国の間違った中東政策から生じた反米武装抵抗 である。 米国に向けられたそのような武装抵抗は、それまでにも頻繁に 行なわれていた。米国情報局もその危険性を十分に感じていた。 何よりも米国が間違った不正義の中東政策を改めれば起こらな かった事件であったのだ。 それにくらべて「3・11」は違う。 地震や津波は天災だ。 さすがの日本政府も、それには責任はない。 日本政府に責任があったとすれば、津波によって引き起こされた 原発事故に対する対応の不味さ、説明責任のなさである。 それが国民の被害を倍加した。 その意味で原発事故は9・11と共通性がある。 つまり人災であるということだ。 しかも本当の人災は日本政府が原発を導入したことだ。 そして日本政府が原発を導入、推進したきっかけは、米国の対日 原発導入圧力であった。 これを要するに、「9・11」と「3・11」の共通点は、米国の 間違った政策と、それを看過し、追従した日本政府がもたらした人災 である。 滝田編集委員が書くべきは、まさしくその事だったのだ 。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)