□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月11日発行 第256号 ■ =============================================================== このまま復興計画が進むと日本は変われない(1) =============================================================== きょう(4月11日)、菅首相は筋書き通り復興計画を発表する。 地方統一選挙の前半戦は予想通り民主党の敗北に終わったが、 それは菅首相にとっては折込済みだ。 民主党内外の菅降ろしに先手を打つために、11日を狙って 復興計画を発表し、「非常時に首相交代をしている場合か」、と 開き直るシナリオである。 そしてその通り進むだろう。 菅首相の政権にしがみつく執念はそれほど強いということだ。 その菅首相に辞任を迫る内外の力がそれほど弱いということだ。 しかし、もしこのまま復興計画が進めば、いずれ反原発の機運 も遠のき、人々も、厳しいままに、もとも生活に戻っていくことに なる。 このまま復興計画が進むとなぜ日本は変われないのか。 その理由の一つは官僚支配の悪弊が手つかずのまま残ることだ。 きょう(4月11日)発売の週刊現代「霞が関24時」がこの事を 見事に喝破していた。 復興計画の目玉である復興庁構想は「なんの力も発揮できない無用 の長物になる」だろうと。 この復興庁構想は、関東大震災に首相直轄機関として設置された 「帝都復興院」にならった構想だという。 しかし「復興事業はどれもこれも既存省庁の所管事業に当てはまる。 役所が権限を簡単に委譲するはずはない」(内閣府中堅幹部)。 加えて、「復興事業と通常事業の区分ができないものばかり」(東北 地方の県副知事)。 だが、それでも、官僚たちは復興庁創設には反対者しないだろうと、 「霞ヶ関24時」の記事は言う。 「無用の長物でもポストが与えられるし、予算獲得の邪魔にはなら ない」(経産省幹部)からだ。 かくて官僚をコントロールできない菅政権の下で復興庁は誕生し、 被災地ならぬ霞ヶ関の復興に使われる結果となって終わる。 このまま復興計画が進められると、日本は変われないと言う理由は そこにある。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)