□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月10日発行 第255号 ■ =============================================================== 政治的偏向報道が高視聴率をかせぐ米国のテレビ界 =============================================================== 4月10日の東京新聞でジャーナリストの木村太郎氏が みずからの「太郎の国際通信」で興味深いことを書いていた。 米国CBSテレビの看板ニュース番組の視聴率が低下している という。 米国のCBSニュースといえば、「赤狩り」のマッカーシー上院 議員を番組で葬ったエド・モロー氏や、ベトナム戦争を「間違い」 と断じたウォルター・クロンカイト氏、記者会見でニクソン大統領 をやりこめたダン・ラザー氏など、伝説的なアンカーマンを誇った テレビ局だ。 進歩派とはいえ、報道の「公平原則」の建前を今でも守っている テレビ局だ。 ところが米国のテレビ界は1987年にメディアに「公平原則」 を求めることを止めたという。 それ以来、公然と共和党支持を打ち出すFOXニュースが現れ、 その一方でMSNBCは民主党支持に回った。 米国の視聴者も、自分の主義主張を裏付けてくれる報道が心地よい と見えて、この二つの局の視聴率はうなぎのぼりに増え、とくに FOXニュースの保守派の旗手であるビル・オライリー氏のニュース 番組の人気は急増しているという。 木村氏は、このような自己主張の報道を好む米国の視聴者が米国の テレビニュース界に変化をもたらし、「公平原則」を守る良識派の CBSの「イブニングニュース」が割りを食ったのだろう、と書いて いる。 これからは「悪の強い」アンカーが出てくるのかもしれない、と書い ている。 そして木村氏は次の言葉でそのコラムを締めくくっている。 「テレビ界では『米国の今日は、日本の明日』とも言うのだが・・・」 、と。 私は日本のテレビ界はすでに米国のテレビ界に限りなく近づいている と思っている。 過激な政治番組が目立ち過ぎる。 しかもそれらは保守・タカ派の番組ばかりだ。 メディアが公平原則を放棄したらろくなことはない。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)