□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月10日発行 第253号 ■ =============================================================== 原発批判の特集記事を連載する東京新聞の健闘ぶり =============================================================== 東京新聞が原発批判の特集記事を連発している。 他の大手新聞が決して書かない中で、その健闘ぶりが際立って いる。 なぜ朝日や読売や毎日にそれが書けないのか。 4月7日の「こちら特報部」では静岡の浜岡原発について書い ていた。 中部電力の需給計画では、10年度の実績では供給力2916万 キロワットに対し最大電力が2621万キロワット。差し引き 295万キロワットの余裕があったという。 本年度の計画でも最大電力と供給能力の差は439万キロワットと 見込まれるという。 これを要するに浜岡原発の総発電力である約362キロワットを 上回る。 供給能力過多で、少なくとも中部地域は浜岡原発なしでも足りて いるとその記事は書いている。 おまけに東海地震は何時起きてもおかしくはないという。 もし浜岡原発に事故が起きたら、その被害は福島の原発事故の比 ではない。福島原発事故をはるかに上回る大量の放射性物質が放出 され、わずか半日ほどで首都圏はすっぽり覆われるという。 極めつけはデスクメモに書かれている次の指摘だ。 「友人のヨットマンによると、沖から原発に近づくと、どこやら から警備艇があらわれ、追い払われるのだそうだ。ヘリ取材にも制限 が厳しい。テロ警戒なのだろうか。原発は、事故だけではなく、 そんな危険とコストも代償している。つまり茶の間に原爆を置いて いるようなもの。どこが安価で安全か」、と。 大手新聞ではじめて、「原子力発電所がテロの標的にされれば打つ 手がない」ということを掲載した。 それから一日置いて書かれた「こちら特報部」においては、原子力 発電に一貫して反対してきた小出裕章京大助教のインタビュー記事を 掲載した。 「今回の事故の教訓は原発を即刻止めることだ」と言う小出助教の 論旨は明快だ。 これほど危険な原発がここまで推進されてきた理由は、原発に群がる 産官学の利権にある、と弾劾する小出助教の舌鋒は鋭い。 その小出助教は、京大の助手として採用されて30年以上たつのに、 いまだ助教(助手)のままだ。 絵に描いたような懲罰人事である。 懲罰人事で意に反する者たちを左遷、阻害する。 人間の自尊心を傷つける。 それはこの国の権力者たちの最も卑しい常套手段だ。 原発推進者たちもまたそのような卑しい者たちの集まりという事だ。 今度の原発事故で木っ端微塵に解体されなければならない。 それがせめてもの犠牲者への償いである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)