□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月9日発行 第251号 ■ =============================================================== この後に及んでもODA削減に強硬に反対する外務官僚のエゴ =============================================================== 4月8日の産経新聞に次のような記事を見つけた。 すなわち高橋千秋外務副大臣が7日の記者会見で、大震災復興 のための第一次補正予算案で決められた政府開発援助(ODA) 予算の2割削減について「日本の国際的地位を維持するため」に 必要だ、と強硬に反対したという。 もっと驚いたのはその言い草だ。 補正予算での削減を主張する岡田幹事長に対し、この前まで 外相をつとめてODAの増額を訴えていた者が、削減を言い出すとは、 「非常時とはいえ外相経験者の言うことか」(外務省幹部)と言って いるという。 ODA削減が外務省と民主党の対立に発展する可能性もあると その産経新聞の記事は書いている。 信じがたい外務官僚の省益固執であり、慢心だ。 汚染水放出という国際信用失墜を許しながら、ODAの2割程度 の削減が日本の国際的地位を損なうという。 特例国債や復興増税やむなしと言われている中で、ODAだけは 減らさせないという。 なぜ外務官僚がそこまでODA削減にこだわるのか。 まともな外交ができない無能な外務官僚にとって、ODA とその実施を独り占めする国際協力機構(JICA)は、もはや 唯一、最大の利権であるからだ。 それにしても、と思う。 こんな理不尽な外務官僚を一喝するどころか、その代弁者と成り下 がっている高橋千秋という政治家はどのような政治家なのだろう。 政治主導のかけらも感じられなくなった菅民主党政権を象徴する ような情けない政治家である。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)