□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月8日発行 第248号 ■ =============================================================== もう一つの日本をつくる(東北ルネッサンス構想)(6) =============================================================== 東日本大震災の被災地復興に関して、日本居住福祉学会会長の 早川和男という人が4月8日の読売新聞「克服へ」のインタビュー に次のように答えていた。 早川氏は1995年の阪神大震災のとき、自らも被災して以来、 全国の被災地を何度も訪ね、居住環境を中心に復興過程を検証して きたという。 その早川氏が次のように語っているのだ。 阪神大震災の復興で大きな反省点となったのは、山の中に仮説 住宅を建て、抽選で入居者を決めたことだ、と。 これにより、それまでのコミュニティーが分断されてしまった、 仮説住宅へは集落ごとに順番を決めて入居すべきだ、と。 これにより、仮設住宅に移り住んだ後に多くの人が孤独死した ことが防げるというのだ。 その一方で「ケアつき仮説住宅」を開設して地元の介護施設の職員 が24時間体制で世話をした事により、一人暮らしのお年寄りが震災 前より元気になる事例も見られた、と。 その上で早川氏は次のように提案する。 「復興はコミュニティーの再建を第一に考えるべきだ。社会政策 として住宅を整備してきた欧州と違い、住宅は自助努力だとされて きた日本では、災害のたびに多数の犠牲者を出している。いまこそ 安心して介護や子育てができる住まいのありかたを考えるべきだ。 『日本列島居住福祉改造計画』をつくり、住んでいる地域全体を 健康福祉空間にしていけば、その延長線上で防災対策にもつなげる こともできるはずだ」 これは菅首相が11日にも発表しようとしている復興計画では 決して提案できない考えだ。 小さな村からでもいい。 このようなコミュニティー作りのための予算を国に要求する。 そして、国が有識者を集めて小田原評定をやっている間にも、 村づくりを始めて一日もはやくそれを完成する。 それを国民に見せる。 それこそが私の言う「もう一つの日本をつくる」という事である。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)