□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月5日発行 第238号 ■ ================================================================== イスラエルに関する最近の記事から(2) ================================================================== ゴールドストーン、お前までもか。そう思わせる記事を見つけた。 その事を書く前に私がかつてのメルマガで書いたゴールドストーン 氏の記事の要旨を以下に引用したい。 引用開始 □■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年7月27日発行第36号 ■ ============================================================ ユダヤ系元判事ゴールドストーン氏に乾杯 ============================================================= ・・・7月26日の朝日新聞の小さな記事に目が留まった。 その記事は2008年暮れから2009年1月まで三週間続いた イスラエルによるガザへの大規模攻撃に関し、7月25日までに イスラエル政府がその攻撃を正当化する最新報告書を公表した、 というものであった。 いまさらながらイスラエル政府の厚顔、非道さを思い知らされる が、同時にこの朝日の小さな記事は、私に週刊ニューズウィーク誌 日本語版6月23日号の記事を思い出させてくれた。 「対立の狭間で引き裂かれて」というタイトルのその記事は、 ガザ攻撃をめぐる国連人権委員会の事実解明調査団の団長を引き 受けた南アフリカのユダヤ系元判事であるリチャード・ゴールド ストーン氏の苦悩を綴った記事である。 「あのとき断っていたらどうなっていただろうか。この数ヶ月間、 南アフリカのリチャード・ゴールドストーン元判事はそう自問し 続けている・・・」 こういう書き出しで始まるその記事は、法律家としての輝かしい キャリアの最後に、対立を続けるイスラエルとパレスチナの間に入る 決心をしたゴールドストーン氏をめぐる感動的なエピソードである。 ゴールドストーン氏はアパルトヘイト(人種隔離政策)時代に リベラル派の白人判事として活躍し、後にネルソン・マンデラ大統領 から憲法裁判所判事に任命された人物だという。 栄光に包まれたままそのキャリアを終えられたはずだった。 しかし、調査団の団長を引き受ければイスラエルとパレスチナ双方 の力になれると考えたゴールドストーン氏は、困難を承知でその役割 を引き受ける。 そして真実に忠実であり続け、イスラエルがガザの民生用インフラ に大規模な被害を与えた事実を報告書(09年9月公表)で浮き彫り にした。 これこそがガザ紛争のとりわけ醜い側面だ。農地はブルドーザーで ならされ、浄水施設は砲撃され、唯一稼動していた製粉所が空爆され、 学校も破壊された、と。 団長を引き受けた事により同胞のユダヤ人に「裏切り者」と非難され、 妻から孫に至るまで家族に脅迫が及ぶことになった。 それでも約600ページにわたる調査団の報告書については一行たり とも後悔していないと語るゴールドストーン氏は素晴らしい。 イスラエルがこんなに反発する事を知っていたら、そして家族が こんなひどい目にあう事を知っていれば引き受けなかった、と素直に 認めるところがまたいい。 そんなゴールドストーン氏に乾杯! 了 引用終わり このゴールドストーン氏が豹変したというのだ。 4月4日の毎日新聞は小さく次のように報じていた。 ・・・ゴールドストーン国連人権理事会調査団団長は4月1日 付米紙ワシントン・ポストに報告と異なる見解を寄稿した。 報告は、イスラエル軍が意図的に(ガザ)市民を攻撃したと (イスラエルを)批判したが、この点を(ゴールドストーン氏は ワシントン・ポスト紙で)ほぼ否定した・・・ ゴールドストーン、お前もか。 しかし私は彼を責める気にはなれない。 その毎日新聞の記事にはこう書かれていた。 「イスラエル紙イディオト・アハロノトによると、(ゴールド ストーン氏は)報告書作成後に母国や米国のユダヤ人社会から強い 圧力を受けていたという・・・」 そこまで攻撃的なユダヤ人を私は悲しく思う。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)