□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月5日発行 第235号 ■ ================================================================== 唐突な菅首相の復興計画発表 ================================================================== 菅首相は4月1日の記者会見で唐突に東日本大震災復興構想 を表明した。 それを4月2日の各紙が一斉に報じた。 財源確保のため震災国債発行や特別復興税創設を行い、復興庁 や復興担当大臣、その他の閣僚ポストを増やし、有識者や地元関係者 で構成する「復興構想会議」を作って意見を募る。 与野党大連立でこれを行なう。 震災被害の土地を一部国有化する。 すばらしい東北、日本をつくるという夢を持った復活計画を進 める。 山を削って高台に住むところを置き、海岸沿いの水産業、漁港 まで通勤できるようにする。 植物やバイオマスを使った地域暖房を完備したエコタウンをつくり、 福祉都市としての性格を持たせる。 世界でひとつのモデルとなるような新しい街づくりをめざす。 などなど。 一見すれば素晴らしい構想だ。 しかしそれは周到に練られた現実的な政策なのか。 それよりも何よりも、被災者救済も放射線流出停止もままならない 中で、4月に月が替ったからと言って、なぜ唐突に復興計画の発表 なのか。 そう思っていたらこの唐突な提案のネタがばれた。 4月3日の日経新聞が次のように書いた。 松本健一内閣官房参与の提案だったという。 松本氏は仙谷由人官房副長官の東大の同級生でブレーンの一人だと いう。 元官房副長官の古川元久、松井孝治、元防衛政務官の長島昭久氏ら と復興案を練っていたという。 松本内閣参与は菅首相と会談して「ビジョンを首相が打ち出していか ないとダメだ」と進言したという。 何のことはない。 御用学者や友人や官僚あがりの側近政治家から吹き込まれた借り物の アイディアを、臆面もなく表明しただけなのだ。 そう思っていたら今日(4月4日)発売の週刊ダイヤモンド4月9日号 に次のような記事が出ていた。 菅首相はつとに復興計画案について各省の官僚たちに案を出せと極秘 裏に命じていたという。 それらの案を大震災の一ヶ月目にあたる4月11日に発表するという。 その日はおりしも地方統一選挙の翌日である。 大敗北間違いなしと言われる今度の地方統一選挙の失点を隠すために 復興計画をぶち上げて自らの手でそれを行なうと居座りの決意を述べる ためだというのだ。 その一部を、待ちきれずに4月1日に口にしたというわけだ。 これが本当なら、大震災の不幸まで自分の保身のための使おうとして いる訳だ。 なんとしてでも「もう一つの日本」の構想を提案していかなけらば ならないと思う。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)