□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月3日発行 第230号 ■ ================================================================== 大連立の動きはまさしく自民、民主の政治家たちの保身だ ================================================================== ここに来て大連立の解説記事が連日紙面を賑わせている。 大震災復興という未曾有の課題の前に一時的な大連立もやむなし、 という言説が語られる。 しかしそれらを注意深く眺めてみると、これは自民党と民主党と いう二大政党の間で権力を分かち合う野合であることがわかる。 自民党と民主党と言う二大政党の政治家がその特権を持ち続ける 保身であることがわかる。 考えてみるがいい。 大震災前には民主党の不評は頂点に達していた。どの数字を見ても 総選挙が行なわれた時点で政権失脚は明らかだった。 それは今度の大震災でも変わらない。 政治休戦は起きても、地方統一選挙が延期されても、民主党政権の 支持が上がるわけではない。 だからといって自民党が国民の支持を取り戻すことはない。 国民はもはや自民党を見放してしまった。国民の支持が民主党に 向かう事はない。 だから無党派層がこれまでにないほど増えていたのだ。 取り立てて立派な連中の集まりではないみんなの党や減税新党、 地方維新党などが、にわかに支持を高めていたのだ。 今度の大震災がそれを吹っ飛ばした。 そんな中で大震災復興の為の大連立が起きた。 それは一見したら自民党と民主党の政権交代、再交代をめぐる権力 闘争のように見える。 しかしそうではない。 どちらが政権を取ったところで大震災の問題は乗り切れない。 それどころか大震災前の日本が直面する諸問題そのものが、 大震災の後に今まで以上に深刻な問題として噴出する。 もはや自民党にも民主党にも解決不能なのだ。 そうであれば、二大政党の自民党と民主党が大連立を組めば お互いを非難しなくて済む。 自民党と民主党が大連立を組めば、みんなの党や減税新党、 地方維新党などは、いまだ自民・民主の大連立を覆す力を持ち 得ない。 ましてや社民党や共産党などは埒外だ。 つまり自民党と民主党が組めば自分達で権力を持ち続けられる のである。 確かに自民党内部でも大連立に対する意見の濃淡はある。 民主党の中でも菅降ろしの動きに対する菅首相の抵抗はある。 しかしそれらを超えたより大きい力がある。 それは自民党と民主党の政治家たちの保身である。 権力政党の一角にとどまり続けたいという保身である。 私が大連立に反対する理由がそこにある。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)