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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

 もう一つの日本をつくる(東北ルネッサンス構想)(2)  
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月2日発行 第227号 ■     ==================================================================     もう一つの日本をつくる(東北ルネッサンス構想)(2)          ==================================================================  菅首相が4月1日の記者会見で東日本大震災復興構想を表明した。  まず財源確保のため震災国債発行や特別復興税創設を行い、復興庁 や復興担当大臣、その他の閣僚ポストを増やし、有識者や地元関係者 で構成する「復興構想会議」を作って意見を募る。与野党大連立で これを行なう。震災被害の土地を一部国有化する。  「すばらしい東北、日本をつくるという夢を持った復活計画を進 める」、「山を削って高台に住むところを置き、海岸沿いの水産業、 漁港まで通勤する」、「植物やバイオマスを使った地域暖房を完備 したエコタウンをつくり、福祉都市としての性格を持たせる」、 「世界でひとつのモデルとなるような新しい街づくりをめざしたい」、 と強調した(4月2日各紙)。  それを政府主導でやらせてはいけない。いや独占させてはならない。  競い合わせてほしいのだ。  なぜか。  それは従来通り権力者側からおしつけられる計画になってしまう からだ。  これまでの権力構造は何も変わらずに温存されるからだ。  官僚主導は変わらない。  そこに登場してくる有識者はいずれもおなじみの顔ぶれになる。  御用学者や専門家、さもなければ市民派の中から権力に近づきたいと 思うような「御用学者、専門家予備軍」ばかりが集まる事になる。  彼らが国債や増税で国民から吸い上げた金を自由に使う事になる。  あらたな復興利権族ができる事になる。  その決定プロセスは遅い。住民の意向を第一に吸い上げる事には 決してならない。  私が唱えるもうひとつの日本づくりとは、まさしくこのような菅首相 主導による復興計画の対極にあるものである。  その構想は似ていても、その実体は正反対である。  そこには「自分の手柄にする」、という発想が存在しない。  実施主体と資金の使い手を権力者と正反対の位置にある人々の手に 委ねるという事である。  政府の復興計画に反対するのではない。  政府の復興計画の向こうを張るというのではない。  政府の復興計画の一部に組み入れてほしい、排除しないでほしい、と いうことだ。  そしてその予算のほんの一部を政府の規制(既存の法体系)から離れた 街づくりに使わせてくれ、住民主体でさせてくれということだ。  それは言い換えれば平和的な革命を認めろということだ。  革命とは権限を移譲するということである。  そしてそれが許されるのは津波被害を受けたすべての地域でなく、 原発被害を受けた特定地域である。  なぜならば原発被害は国策による被害であったからだ。人災であった からだ。  その国策、人災によって被害を受けた住民には、今あらゆる要求を する権利がある。  政府はそれを拒む事はできない。  これを利用するのが私の言う「もう一つの日本づくり」のポイント である。  そしてもうひとつのポイントは、原発被害であるがゆえに、「街づく りを脱原発エネルギーの現実化」から出発するという事である。  原発被害を受けた地域が脱原発エネルギーを主張する。  これを誰も否定できない。  原発を日本から直ちに廃止しろとは言わない。  しかしせめて我々に脱原発の暮らしをはじめさせてくれ、という 事である。  そしてそれは研究開発ではない。直ちに現実の生活に導入するのだ。  これを熱意ある首長の下で住民が一体となって政府に迫る。そして 確実に実現する。  これが私の構想である。  一つでも、どんなに小さなコミュニティーでも、それが成功すれば、 後はそれを拡げていけばいいのだ。  震災被害の東北地域に広げ、全国に広げる。  そして脱原発エネルギーに成功すれば、その後は医療、福祉、教育、 雇用創出などに広げていけば良いのだ。  国が決してできなかった事を、政治家や官僚ではできなかった事を、 これまで権力の外に置かれていた名もない一人一人が実現するのだ。  膨大な国家予算のほんの一部を、政治家や官僚に食いつぶされてきた 膨大な無駄金のほんの一部を振り分けさえすればできる。  そして政治家や官僚がつくってきた法律でがんじがらめに縛られてきた 我々に、ほんの少しの自由を与えてくれさえすればできる。  それを証明して見せる。それが私の目指す「もう一つの日本づくり」 なのである。  そこから新しい政治ができる事になる。  既存の政治や政治家がほとんど不要になるあたらしい政治がうまれる 事になるのだ。                      了

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