□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月30日発行 第217号 ■ ================================================================== それを実現する政府を持てるかだ。それを実現する政治家が現れるかだ。 ================================================================== 3月30日の読売新聞紙上で佐伯啓思京大教授が、こんどの大震災 の復興の際には、あらたな国家像に基づいて国造りを再構築すべき だと、次のように述べていた。 「成長を第一に掲げた国家間の競争から一歩離れて、人間が自然 と共生できる国のかたちに転換し、そのモデルを提示できれば、共感 する国はヨーロッパを中心にたくさんあると思う」、と。 3月28日の毎日新聞「発信箱」で笠原敏彦欧州総局長が、国連 安保理決議にもとづく欧米主導のリビア空爆について、オバマ大統領 のノーベル平和賞受賞演説の言葉を引用して次のように書いていた。 「いかに正当化されようと、戦争は悲劇を伴うものだ。(永続的な 平和のために)暴力に代わる別の手段を見つけなければならない」と。 その上で次のように自分の思いを書いていた。 「それがどんなに遠い目標であっても理想は掲げ続けていきたい」 と。 いずれも私は正しい考え方であると思っている。 まさしく平和憲法の掲げる精神であると思う。 問題は佐伯氏といい、笠原氏といい、これまでの生き方において、 それを本気で主張してきたか、いや主張するばかりでなく、実現し ようとしてきたか、ということである。 いや、これまでの考え方、生き方は問わない。 こんどの大震災をきっかけに、今度のリビア空爆をきっかけに、その 考え方にたどり着き、それを確信し、そしてそれを実現する決意を固め たのか、ということである。 それらを実現するのはつまるところ政治であり、政治家である。 そのような政権をつくり、そのような政治家をこの国の指導者に させる。 そのために本気になってその政治的スタンスを明確にできるか。 それに基づいて政治活動を行なう覚悟があるか、である。 少なくとも自民党政治や菅民主党政権ではそれが難しい事は明確だ。 平和憲法を政策に反映させるあらたな政権をつくれるか、佐伯氏や、 笠原氏は、その事に本気になって取り組むことができるか、それで ある。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)