□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月29日発行 第210号 ■ ================================================================== それでも揺るがない原発推進派たち(1) ================================================================== 今朝(3月29日)の早朝のNHKニュースでは、電力会社が 原発計画の見直しの検討を始め、経済産業省がエネルギー白書の 書き変えのために発行を遅らせることにした、などと報じていた。 当然だろう。 しかし問題は今回の福島原発事故を契機に日本と言う国が原発 廃止の方向に向かうかどうかである。 ほとぼりが冷めたら再び原発推進に動き出さないかということだ。 この点に関し、 昨日(3月28日)発売された週刊アエラ4月 4日号の中に「原発学者は揺るがない」―福島第一原発事故でも議論 は平行線―という注目すべき特集記事を見つけたので、三回にわけて そのことについて書いてみる。 実に興味深い、秀逸な特集記事である。 その記事はまず、原子力発電の歴史は、半世紀にわたる原発推進派 と反対派の闘争史であったと指摘する。 原子力発電に関わってきた科学者、専門家たちの間では、歩み寄る事 のできない意見の対立があった、と次のように書いている。 今度の福島原発事故についてアエラは原発専門家たちにアンケートを したという。 その結果、原発反対派は一様にこれまでの意見の正当さを強調した 事は当然であるが、驚くべきは、原発推進派の学者たちが、「それでも 原発は必要だ」と一様に答えた事だという。 すなわち原発推進派の意見は、福島原発事故が起きても、揺るがない、 微動だにしない、というのである。 今度の原発事故で、「人間が放射能をコントロールすることは本質的 に不可能」として風力や太陽光のような自然再生型の資源活用を目指す べきだとする原発反対派の意見が注目されるのは当然である。わかり やすい。 原発について強い意見を持っていなかった私も、今やその意見に共鳴 する一人となった。。 しかし、それでも原発推進派の意見は揺るがない。 それどころか、福島第一原発のような「軽水炉」タイプの原発にとど まらず、大量の核燃料を扱う「再処理施設」やプルトニウムを用いる 「高速増殖炉」というような、より危険性の高い施設についても、推進派 はそろって「進めるべきである」とアエラのアンケートに答えたという のだ。 これを見てアエラの記事は、両派の対立は「かみ合わない永遠論争」の ように思える、という。 果たしてこの対立の原因はどこにあるのか。 それは純粋な科学的見解の違いからくるものなのか。それとも科学以外 の理由があるのか(続く)。
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)