□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月26日発行 第203号 ■ ================================================================== 「思いやり予算」をめぐる政治状況に「あぜん」とさせられる ================================================================== 3月25日の衆院外務委員会で与野党の協議が成立せず、 「思いやり予算」特別協定の年度内成立が困難になったと 26日の各紙が報じている。 その事に対して、外務省筋が次のように批判したという。 「あぜんとするほかない。与野党とも、日米同盟への影響を 考えていない」、と(3月26日読売)。 「あぜん」とするのはこの外務省筋の発言だ。 「思いやり予算」特別協定はたとえ年度内に成立しなくても 早晩成立する。 たとえ年度内に成立しなくても必要な予算は米国に支払われる。 それを米国は知っている。 特別協定の年度内成立がなされなくても実質的には何の問題も ないのに、「大震災で在日米軍から支援を受けているのに思いやり 予算の成立を遅らせるのは日米同盟を危うくする」、などと騒ぐ 外務省筋の思い込みこそ「あぜん」とさせら。 ここまで日米同盟に気遣うのか。 「あぜん」とさせられる事はほかにもある。 野党が25日の衆院外務委員会で特別協定の採択を拒否した理由 は、北沢防衛相が大震災の対応を優先して委員会に出席しなかった からだという。 そんな理由で採決を遅らせるのは無意味だ。 どうせ賛成するのに、この馬鹿げた政治家の駆け引きには「あぜん」 とさせられる。 しかし、思いやり予算について私がもっとも「あぜん」としたのは、 少し前の新聞に小さく掲載されていた伴野豊外務副大臣の発言だ。 3月23日の自民党外交・国防合同部会で、平成20年度に民主党が 思いやり予算特別協定の国会承認に反対した事について、 「当時の判断にじくじたる思いだ」と釈明したというのだ(3月24 日産経)。 民主党の外務副大臣が自民党の部会に出て行って侘びを入れている。 もはや民主党と自民党の大連立は、少なくとも日米同盟深化に関し ては完成してしまった。 「あぜん」とするほかはない。 了
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天木直人(元外交官・作家)