□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月25日発行第201-3号 ■ ================================================================== 大江健三郎はいまや間違いなく最強の平和主義者の一人だ ================================================================== 存命する著名な知識人のなかで、大江健三郎は間違いなく最強の 平和主義者の一人である。 私はかねてからそう思って大江健三郎の言動を眺めてきたが3月 23日の朝日新聞の小さな記事を見つけて、その思いは確信となった。 ニューヨーク発、田中光記者の手になるその記事は、米誌「ニュー ヨーカー」の最新号に大江健三郎が福島原発事故に関連して、「歴史 は繰り返す」と題する批判文章を寄稿したことを教えてくれた。 「日本は広島の原爆から何を学んだのか」と問いかけ、「広島の 原爆犠牲者に対する最悪の裏切り」、と原発批判を展開、「現在の 惨事から教訓を導き出せるかは、同じ過ちを繰り返さないと決意できる かにかかっている」と指摘しているという。 大震災で日本中が苦しんでいる最中に、あらゆる批判が封じ込め られている。 少しでも政府批判をするようなら、たちまち非国民呼ばわりされ そうな雰囲気の中で、正面から原発批判を行なうことは並大抵の者で はできない。 ましてや著名人ならなおさらだ。 それが許されるのはノーベル文学賞受賞者の大江健三郎ならではだ。 いやその大江健三郎でさえ体制側からは痛烈な批判の対象に違いない。 大江健三郎は、それを百も承知で平和を訴え続けているのである。 批判を招致で今、原発事故と広島被爆を結びつけて反核を訴えている。 私が大江健三郎を最強の平和主義者とみなすゆえんだ。 大江健三郎は、この国の平和主義者を結集させる事のできる現存の 著名人のトップランナーに違いない。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)