□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月19日発行 第189号 ■ ================================================================== メア前米国務省日本部長のその後 ================================================================== 大震災が起きてそれまでの話題がまったく遠い過去のようになって しまったが、昔を思い出させてくれるように週刊朝日芸能からメール が届いた。 メア前米国務省日本部長の更迭をどう思うか。来週火曜日の発売に 間に合うように今(15日夕)すぐにコメントが欲しいという。 まことに身勝手な注文だが私は即座に次のように答えた。 更迭かどうかはメア前日本部長の次のポストを見れば分かる。すなわち、 メア日本部長は、あの暴言事件の前までは、この夏にも日本部長から ホワイトハウス国家安全保障会議のアジア部長に昇格する予定であった と報じられていた。ほとぼりが冷めた頃にアジア部長に就任するのなら ごまかしだ。メア氏が次にどのようなポストにつくか。それを見届ける ことが重要だ、と。 このコメントをした翌日(16日)の朝日新聞夕刊紙上で、ワシントン発 伊藤宏記者が次のような記事が送っていたことを知った。 すなわち、メア氏は発言の責任をとって、いったんは国務省を退職する 意向も示したが、その中で大震災が発生。そこで国務省内に設置された特別 作業班で調整担当に当たっていることがわかったという。 日本関係の勤務がながく、在日米軍や日本の原子力発電所などにも詳しい ため、そうした経験を生かして、当面、震災の対応に力を尽くすことにした という。 果たしてこのような処遇が日米双方にとって、そして本人にとって よかったのだろうか。 奇しくも発売中の週刊ポスト(3月25日号)とサンデー毎日(3月27 日号)はメア前部長の暴言問題について次のように書いている。 メア前部長はジャパンハンドラー(対日工作部隊)として数々の対日政策 に関与してきた人物でその暴言ぶりは目に余るものがあった(週刊ポスト)、 オバマ大統領やクリントン国務長官が謝罪すれば大ニュースであるが、 極東担当の外交官の失言など、米国内では大きく報じられる事ではない、 米国にとっては「さっさと片付けたいトラブル」に過ぎなかった(サンデー 毎日)、と。 メア氏は希望通り国務省を退いて日本とは無関係のところで第二の人生を 送るほうが本人にとっても良かったのではないかと思う。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)