□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月17日発行 第185号 ■ ================================================================== 核物質は人間性に反するのではないか ================================================================== 福島原発事故の報道を聞いていて、科学に素人の私でも核物質と いうものの本質について様々なことがわかってきた気がする。 その一つがなぜ冷却がそれほど重要なのかということだ。 普通の物資であれば冷却すれば冷める。消火すれば消える。運転を ストップすればとまる。 それなのに原子力発電は運転をストップしても冷却を怠れば沸騰 するという。 極めつけは使用済み核燃料だ。 とっくに使用済みであるのに、今度はその使用済み核燃料が燃える という。 使用済みの後でも、三年も四年も冷却水で冷やし続けなければ ならないという。 冷却水はすぐに沸騰し、絶えず水を入れ替えなければならない。 そしてそれは一旦核物質が反応すると、すさまじいエネルギーを 放って反応し合い、それを誰も止められないからだという。 こんな物質は人間の力を超えたものではないのか。 人間性に反する物質ではないのか。 どんなに優れたメリットが核物質にあるとしても、人間がコント ロールできないのであれば、それを人間は使ってはならないのでは ないのか。 私は福島原発事故について流される解説を聞きながらここ数日 ずっとそう思ってきた。 そして3月17日の産経新聞が報じる米科学者の声を読んで、わが意を 得た思いでこのメルマガを書いている。 その記事はニューヨーク、ワシントンの特派員が、今度の日本の原発 事故を米国の科学者はどうみているか紹介した記事だ。 原発賛成・反対両派も危機意識は共有しているという。 そのうちの一人であるカリフォルニア大学サンタクルーズ校の ダニエル・ハーシュ講師の次の言葉が印象的だ。 「・・・より根本的には、原発技術は人間が扱うには危険すぎると いうことであ(る)・・・」 石原東京都知事が「天罰だ」と発言して批判されている。 もし今度の原発事故が「天罰」であるとすれば、人間が自らを過信し、 その能力で完全に制御できないものを使いこなせると思い上がったせい ではないのか。 スリーマイルやチェルノブイリの教訓を本気になって生かそうとしな かったからではないのか。 科学に素人の私にはそう思えるのだ。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)