□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月5日発行 第159号 ■ ================================================================== 米国の誤射の犠牲となった者たちに思いを馳せる ================================================================== 思い出したようにテロとの戦いで誤射の犠牲となった者たちの 記事が目に入る。 3月4日の朝日新聞「地球24時」の記事の中で、3月2日アフ ガンに展開する国際治安支援部隊の誤爆で、まき集めをしていた少年 たちが犠牲になったという小さな記事があった。 それを読んで、最近出版された「戦場カメラマンという仕事」 (洋泉社)という本の中で語っていた橋田幸子さんの言葉を 思い出した。 橋田幸子さんとは2004年5月27日にバグダッド近郊で襲撃 され死亡した戦場カメラマン、故橋田信介氏の夫人である。 その幸子さんがインタビューでこう話していた。 夫は即死だったが、甥(小川功太郎)はまだ生きていたので 襲撃者は助けようと輸送したが途中で死んだので捨てられた。 襲撃者の話によれば橋田たちはCIAと同じような車に乗っていた から誤射された、と。 そういえば橋田さんは生前語っていた事を思い出す。 誤射が一番危ないと。米軍もテロリストもやられる前にやるから 誤射だらけだ、と。 そして、このインタビュー記事を読んで私はさらに二人の外交官の 死に思いを馳せた。 橋田さんらの襲撃に先立つ半年ほど前の03年11月29日に起きた 奥克彦参事官と井ノ上正盛三等書記官の殉職である。 襲撃者はイラク兵の残党かテロリストかなどと言われているが真相は 未だに謎だ。 防弾車の被弾状況や死体に残された弾痕などから米軍による誤射の 可能性が国会でも追及されたが、うやむやのままやり過ごされた。 戦争に誤射は避けられない。 しかし、不当で無謀な米国のテロとの戦いの犠牲者となり、しかも その米国の誤射によって犠牲になった者たちほどむなしいものはない。 イラク戦争検証の議員連盟は今何をしていのだろうか。 将来わが国でイラク戦争の検証がなされるとすれば、なぜあの不当な 戦争を支持する決定をしたのか、その決定過程とともに、二人の外交官の 殉職の真相こそ真っ先に検証されなければならないと思う。 了

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