□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月25日発行 第136号 ■ ================================================================== 何度でも書く。護憲政党は何をボヤボヤしているのか ================================================================== 自衛隊機中古プロペラの米軍への売却もそうだが、防衛省の最近の 動きと、それを放置する今の政治状況は、平和をすべてに優先する私の ような者にとっては由々しいものがある。 最近の報道を見る限りでもざっとこうだ。 防衛省はステルス戦闘機を発見、迎撃する防空システム構築のため 世界最先端の日本の技術を組み合わせて開発する計画に着手する (2月21日東京)。 前回(2004年)の「防衛計画の大綱」作成時において、中国に 対抗するため原子力潜水艦の保有が極秘裏に検討されていた事が、 当時の複数の防衛庁幹部の証言で明らかになった(2月17日産経)。 1月下旬にワシントンで開らかれた外務・防衛担当審議官級協議で、 これまでの「日米共通戦略目標」の全面的な見直しを行ない、これまで 言及のなかった宇宙攻撃やサイバー攻撃対策、および日米同盟に韓国や オーストラリアを加えた多国間安保協力を強化する事を明記する方針 (2月5日日経)。 日米両政府が核テロ対策での協力強化に関する工程表を作成すること で合意した事がわかった。来年4月にソウルで予定する第2回核安保 サミットまでに作業を進める(2月6日日経)。 政府は、自衛隊による在日米軍基地の共同使用を拡大する ための日米間作業部会を設置した(1月26日毎日)。 政府は、米無人戦闘機(1機約25億円)などの導入の検討に 入った(2月23日朝日)。 もういいだろう。 要するにいまだ例のないほど防衛官僚の言いなりになっている北沢俊美 という世襲・渡り鳥政治家の下で防衛官僚が好き放題しているのだ。 菅首相はそれをすべて北沢大臣にまかせきっているのだ。 自民党以上に酷い菅民主党政権の安保・防衛政策にいまさら腹を立てて もはじまらない。 問題は護憲政党を標榜してきた共産党と社民党の憲法9条を守ろうとする 気概の欠落である。 ここまで憲法9条が空洞化され、危険な政策がどんどん進められている というのに、本気でそれを追及する気迫が伝わってこない。 共産党は小沢叩きに熱心で、社民党はそんな民主党政権との連立に未練 たらしい。 菅政権が持続するなら日米同盟は固定化する。 たとえ菅政権が交代しても、後に続く政治の流れは、なんとか維新の会と かみんなの党とかタカ派の政治家の集まりばかりだ。 平沼「立ち上がれ新党」に至っては極右集団だ。 いまこそ護憲・平和外交にすべてを捧げる本物の政治家が、保守化の流れ の中で産声を上げなければならないと思う。 それは既存の政治家の一人が立ち上がれば可能である。 その動きは、閉塞感の政治状況のなかで、全国に存在する平和を願う国民 たちの強い支持を得られるに違いない。 果たしてそのような政治家が現れるであろうか。 いや、現われなければいけない。それほどまでに憲法9条が踏みにじ られている。 了

新しいコメントを追加