□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月24日発行 第134号 ■ ================================================================== プロペラ売却は武器輸出三原則に反しないという論理の破綻 ================================================================== 私は2月21日のメルマガ第126号で、海上自衛隊機の中古 プロペラを米軍に売却することは武器輸出三原則に反すると書いた。 この問題についてはそれ以上書くつもりは無かったが、その後の 報道ぶりを見てあまりにも酷いのでどうしても書きとどめておかなけ ればならないと思った。 まずプロペラは汎用性があり、YS11などの民間機にも使われて いるから禁輸対象には該当しない、という、防衛、経済産業省の 官僚の屁理屈だ。 今回の米軍への売却はそんな一般論を超えて明確な事実が確認され ている。 すなわち汎用性のあるプロペラであっても、それを米軍がアフガン 空軍の飛行機に使うと明言し、それを知った上で売却するのだ。 これ以上の明確な武器禁輸違反はない。 二つ目は「日米防衛協力の重要性から提供を決めた」と北沢防衛大臣が 22日の記者会見で語ったことだ。 語るに落ちるとはこのことだ。 日米同盟のためなら何でもやるという事を防衛大臣自身が国民の前で公言 したのだ。 これについてはさらに笑い話のような話がある。 政府はアフガン支援のために防衛省設置法に定められた「教育訓練」に 基づく自衛隊の医官らの派遣を一旦は決めた。 そしてそれを昨年11月のオバマ大統領訪日の際、菅首相がオバマとの 首脳会談で自衛隊員のアフガン派遣を前向きに検討すると伝えてもいた。 しかし、その後1月31日の毎日新聞がスクープ報道をした。 やはりアフガンは危ない。武器の携行も認められない、隊員に対する補償 規定も明確でない、これでは自衛隊員から反発が出る。 いくら外務省や菅首相が米国にサービスしようとしても、防衛省としては 止めざるを得ない、となったと報じたのだ。 それから三週間余りたって、そのかわりにプロペラ売却で日米同盟重視の あかしを見せようというのだ。 話があまりにもわかりやすい。 この程度の官僚の浅知恵で対米外交が行われているということである。 国民は良く知っておいたほうがいい。 了

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