□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月22日発行 第127号 ■ ================================================================== カダフィ大佐とアブドゥラ国王の罵り合いを思い出す ================================================================== 中東の市民革命の嵐はとうとうリビアのカダフィ大佐を追い詰めた ようだ。亡命説まで流れた。 革命の連鎖は果たしてどこまで及ぶのだろうか。 その最終点が湾岸産油国の頂点に立つサウディアラビアである事は 言うまでもない。 そして私はいま、米国がイラクを攻撃する直前に開かれたアラブ連盟 の首脳会議の、忘れられないある光景を思い出している。 当時も今も、中東諸国を悩ますのはパレスチナ問題である。 米国の不正義なパレスチナ政策を黙認して米国に従属する事がアラブの 指導者として取るべき政策か。 これはアラブの独裁者たちにとって、口には出さない、出せない最大の ジレンマである。 王制独裁と言い、軍事独裁と言い、みずからの政権を維持するためには 米国に従属するしかない。 反米で知られていたカダフィ大佐のリビアは、核兵器を放棄する事に よって米国にとっての模範国に豹変した。命欲しさのためにゴロツキ国家 から米国従属国家へと、カダフィ大佐はリビアの舵を切った。 イスラム革命以降のシーア派イランは、石油利権をほしいままにする スンニ派サウディアラビアにとっては最大の脅威だ。 米国の軍事的庇護なくしては王制が危うい。 この矛盾に満ちた二つの国の独裁者が、ある年のアラブ連盟の首脳会議 で、すべての首脳の目の前で、お互いを口をきわめて罵り合ったのだ。 お前こそ米国の犬だ、と。 その時の首脳会議を主催したのがエジプト出身のムーサ・アラブ連盟 事務局長であった。次期エジプトの大統領の一人と見なされている人物だ。 っそのムーサ事務局長はなす術なく見守るほかはなかった。 それからおよそ10年が経った今、次々と中東の独裁者が市民の手で 葬り去られようとしている。 そしてそれを米国は、当惑しながら、なすすべなく見つめるしかない。 目を見開いて見よ。これが歴史の流れだ。 果たしてこの革命の嵐は行き着く先まで行くのだろうか。 2月22日の読売新聞はバハレーンで女性だけでもデモ抗議行動を 行なう動きがあると報じていた。 中東で一番抑圧されてきたのが女性だ。ベールを捨ててデモ抗議をする。 中東の民主化の流れは本物だ。 市民革命が、サウディアラビアと対照的な反米の宗教原理主義国家 イランにまで波及したとしても不思議ではない。 そしてそれはいいことだ。 不可能と思えるパレスチナ問題の「公正で永続的な」解決が期待できる 唯一の道は中東における市民革命しかない。 了

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