□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月20日発行 第123号 ■ ================================================================== 自公民の国会議員を呼びつけて命令する駐日米国大使館の公使 ================================================================== こんな屈辱的なことが行なわれていいのか。 呼ぶ方も呼ぶ方なら、出かけていく方も出かけていく方だ。 2月17日の毎日新聞がこんなスクープ記事を書いていた。 すなわち2月15日の夜、米国大使館のルーク公使(政務担当)が 民主、自民、公明3党の中堅議員を公使公邸に呼び意見交換をしていた 事がわかった、と。 その中堅議員とは民主党の中川正春党外交・安保調査会長、自民党の 小野寺五典・党外交部会長、公明党の赤松正雄・党外交安保調査会長ら であるという。 テレビでおなじみの国会議員だ。自公民の三党は、これまで日本の 政治を動かしてきた主要政党だ。 まちがっても米国は共産党や社民党や国民新党などは相手にしない。 何のために自公民3党の国会議員は呼びつけられたのだろう。 毎日新聞の記事は書いている。前原外相が北朝鮮との直接交渉に意欲を 示した事につき警戒感を伝えたかったのだろうと。 前原外相の日朝対話に触れ、「どういう意図があるのか」と問いただす 場面もあったという。 ルーク公使は言うだろう。公邸に夕食の招待をして意見交換をしただけだ、 主要政党の国会議員との親交を深めるためだ、情報収集活動だ、これは外交 活動だ、と。 その通りである。 しかしその実態は、彼らを呼びつけて、6カ国協議の枠組みを重視しろ、 勝手に北朝鮮との対話を進めるな、という米国の意向を伝達したのである。 米国はつとに北朝鮮との二国間交渉を繰り返して来たというのにである。 これは命令ではない。米国の立場を伝えただけだ、というだろう。 これもその通りである。しかし日本側は命令と受け止める。 そういえば、米国に十分な事前説明をすることなく電撃訪朝した小泉 元首相の外交に、米国は不快感を示した。 米国は日本が米国の許可無く独自のアジア外交を行う事を許さないのだ。 それ以来小泉元首相は対米従属に傾斜した。 この毎日新聞の記事を見て前原外相は震え上がったに違いない。 直接伝えなくても十分なのだ。 様々な形でメッセージを送ればいいのだ。 そういえば前原外相はTPPについて言っていた。 「私の知る限りでは米国から(参加要請を)言ってきたことは一回もない」、 と(2月5日朝日)。 2月4日の参院予算委員会での答弁である。 米国が命令しなくてもこちらから米国の意向を汲んで先取りする。 それが日本の対米外交である。 外務官僚がいつもやって来たことである。 了

新しいコメントを追加