□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月19日発行 第120号 ■ ================================================================== 調査捕鯨が中止になった本当の理由 ================================================================== 調査捕鯨船の中止が突如として発表された。 それをめぐる記事が2月19日の各紙を賑わせている。 中止せざるを得なくなったのはシーシェパードの妨害行為がおさ まらず、捕鯨調査船の乗組員の安全が危うくなったからだという。 それを受けて読売新聞などは「悪質な妨害行為は許されない」、と 書き、前原外相は18日の記者会見で「極めて遺憾だ。毅然として 合法的な活動を続けられる対応策を考えなくてはいけない」と気色ばむ。 確かにシーシェパードの行動は許せない。 カンガルーを平気で殺しながら日本の食文化である鯨を目の敵にする のは矛盾している。 それもその通りだ。 そういう事だけがメディアに書かれ、日本の世論も毅然とした態度を 示せと政府を応援することになる。 日本の捕鯨業者を守れ、ということになる。 しかしもしそのような日本側の主張が正しいのであれば、なぜ日本政府 は本気になって調査捕鯨を続けないのか。 外務省や日本政府はそれを支持し、国際社会に対して外交活動を積極的 に展開しないのか。 結論から言えば、その理由は調査捕鯨が国益のために行なわれているの ではなく水産官僚による、水産官僚たちのための調査捕鯨であるからだ。 おまけに調査捕鯨という名にかこつけて違法まがいの事をやっている。 その一端が暴かれたのがグリーンピースジャパンが不法侵入までして 突き止めた鯨肉の横流しである。 その訴訟はいまも続いている。 あらゆる状況を考えて水産官僚が、これ以上続けても割に合わないと あきらめたのだ。 今度の調査船中止決定はそれだけの話なのだ。鹿野農水大臣は水産官僚 の書いたものを読まされているだけだ。 菅民主党政権が考え抜いて決めた結論でもなんでもない。 調査捕鯨を一手に引き受けている財団法人日本鯨類研究所なる団体を 調べてみればいい。水産官僚の天下り利権のショーケースであるはずだ。 調査捕鯨の正当性を唱え続ける大学教授は水産官僚OBたちだ。 外務官僚はそんな水産官僚の言いなりになって国際社会から批判され続け るのはかなわないと思っている。 前原外相の言葉が、毅然としている割には本気そうに思えないのは、 あながち菅民主党政権が追い込まれているだけではない。 首相になってもこんなことに付き合わされたらたまらないと思っている に違いない。 水産官僚があきらめてくれて内心喜んでいるのだ。 官僚が行なう仕事でまともに国益を考えたものは殆どないと考えたほう がいい。 ましてや国民の利益などはじめから念頭にない。 了

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